03.11.19空冷スターの悲劇・最終回<LNタイプ3>
前回からの続きです。シリンダーヘッドを載せる手前まで組んだら車体にマウントします。なるべく軽いほうが搭載もラクですし、ヘッドボルトの締め上げなども車体に固定されているほうが作業性がいいですね。エヌの場合は車体下からエンジンをもぐりこませるのでジャッキアップもなるべく低いほうが気持ちがラクです。
ライフ用ピストンでボアアップ
手持ちのライフ用ピストンで状態のいいモノがあったので、それに合わせてシリンダーをボーリングしました。ライフピストンのリングはメーカーから新品が入手可能です。(03年10月現在)ピストンのヘッドはバルブの逃げ加工を施してあります。ピストンピンの径はエヌとおんなじなので、コンロッドは無加工でOKです。ピストンには右と左がありますので、吸排気の向きと共に注意が必要です。
N360向けボアアップキット
(シリンダー下取り)取り扱い終了
いつ見てもカッコいい!
いまさら改めて言う必要もないでしょうが、見かけはやっぱり、よき時代の単車ですね。エヌ乗りに元“単車小僧”が多いのもうなずけます。このカッコいい空冷フィンをむきだしにしておきたいところですが、シュラウド(鉄製のエンジンを覆うカバー)をつけておかないと、かえってオーバーヒートの原因にもなります。エンジン後ろから強制ファンにより大気を吸ってシリンダーに当てているため、解放してあると大気を引っ張り込めないのです。この場合のクルマと単車との違いは、エンジンルームにおさまっているため”熱がこもる”というところですね。
力仕事終了、シリンダーヘッド、カムケースを重箱のように重ねてヘッドボルトを締め付けます。その際は袋ナットやワッシャーの位置にも注意して下さい。カムチェーンが落っこちャってますが、針金や磁石で簡単に引きずり出せます。
順序が逆になってしまいましたが、その前に、クラッチワイヤーやリバース灯のスイッチ、セルダイナモの配線など、少しでもエンジンルームのスペースが広いうちに済ませておきます。
ここまでくれば力仕事は一段落です。
外科手術この写真をみたとき、ブラックジャックのオペシーンを思い出しました。これはタペットクリアランスを調整しているところです。偏心しているロッカーアームシャフト(ドライバーのところ)を回して、ボルトでロックします。ロックすると元のクリアランスに戻ってしまう場合は180°回して再調整してみてください。
取り調べひととおり組み上がりましたが、液体パッキンを併用したので一晩たってからオイルを入れました。オイルを入れたら、クランクプーリーのボルトをエンジン回転方向へグリグリ回してみます。回した感触、ピストンとバルブが干渉していないか、点火タイミングのマークとカムシャフトの位置関係など、自分が納得するまでしつこく尋問してやります。そのうち回転音の気持ちよさに、グリグリが止まらなくなります。
というわけで、ひととおり終了したので、仮釈放でしばらく泳がせてみます。その結果必要ならばキャブを尋問することにしました。とりあえず音の静かなフレッシュなエンジンに仕上がって一安心です。
LNの巻終了です。今回は書いているうちに、なぜかコーフンしてしまいました。内容も「そんなことわかってるよ、」という方には失礼しました。上記のほかにも気がついたことがありましたらメール下さい。
と、今回は単車でコーフンしたので、次回は販売準備ほぼ完了の『XE50』の予定です。XE50価格決定!98000円
<取り扱い終了>