04.1.25 ハンドリングは大丈夫?<足回り点検編>


さて今回は今年に入って作業の多かった“足回りの点検と整備”についてご紹介します。特にフロントはハンドリングに大きく影響するのでこのあたりをバリッとオーバーホールしてやるとクルマもキビキビ走ってくれます。主にホイールベアリング、タイロッドエンド、ロアアームボールジョイントが要の部分です。足まわりのガタはガンのように少しずつ進行しますが、一点にガタが出始めると他の部分に転移していきます。「なんかおかしいぞ」と気づいたときには上記の3点が全滅なんてこともありますので、早期発見、早期治療がクルマへのダメージを最小限におさえる秘訣です。このページでは分解しながらチェックしていますが、ジャッキアップしてタイヤを上下左右に揺すってみる事で簡単に点検する事が出来ます。(ジャッキアップ時等、安全に十分注意した上で)みなさんも点検してみて下さい。ただし、分解作業は危険が伴う荒っぽい内容ですのでウデに覚えのある方以外にはおすすめできません。ここでは簡単な説明にとどめておくこととしましたが、どの部分にガタが出ているかの参考にはなるかと思います。
上の写真は折れてしまったエキゾーストパイプを差し込み式に改造して対処したものです。バイクのようにスプリングでジョイントしてあります。ちなみに今回の内容とはまったく関係ありません。

 


ドライブシャフトのブーツ

まずはドライブシャフトブーツの点検。破れていないか、ひび割れなどがないかをチェックします。破れているとタイヤハウス内側や写真の白丸部分にブーツ内に封入されているグリスがとびちっていますのでそんな方は要注意!

タイロッドエンド

ステアリングの動きと共に働いている部分、タイロッドエンドです。矢印方向にガタが出ている場合はこの部分をそっくり交換します。


ロアアームボールジョイント

ロアアームボールジョイントも上記タイロッドエンドと点検方法は一緒です。少しでも上下に動くようでしたら交換します。

ボールジョイントのガタ

矢印部分の隙間がわかりますでしょうか?本来樹脂製のブッシュが中に組み込まれていてこの球を押さえ付けています。タイロッドエンドもそうですが、この部分はダストカバーの不良で水が入ってしまうと、封入されているグリスが変質して部品の寿命を急激に早めてしまうので、ダストカバーも新しいものを使用します。


ボールジョイントの打ち変え

交換はロアアームからボールジョイント部分だけを外して行ないます。この部分は圧入ですので、通常叩いたくらいでは抜けません。叩いて抜けてしまうようであれば新しいモノを入れてもその部分からガタが発生しますのでどっちみちムダになりますね。そんなときはロアアームごと交換になります。新しいジョイントは指で押したくらいでは動かないほど渋く造られています。

ホイールベアリングの点検

ブレーキドラムを手で上下左右に揺すってみます。矢印部分の隙間が変化するようでしたらホイールベアリンクの不良です。ホイールベアリングはナックルの中に組み込まれていますのでドライブシャフトからなにから、このあたりを全部ばらしてナックルをハダカにしなくてはなりません。


ナックルの分解

ナックルの中はこんな感じの部品で構成されています。ベアリングは一輪につき2個使用です。純正では片面シールのものが使われていますが、ウチでオーバーホールする時には両面シールのものを使用しています。

ホイールベアリング

寿命を迎えたベアリングは、手で持って振るとガチャガチャと音が出ます。写真のモノはグリスも激しく変質していました。


ブレーキフルードの漏れ

ドラムを開けたついでですので、ブレーキ関係もチェックしましょう。この写真のようにタイヤの内側に放射状のしみがある場合、ホイールシリンダーの不良により間違いなくブレーキフルードが漏れています。これはアブナイですから即、修理しましょう。

ブレ−キシリンダーの点検

ドラムを外してブレーキピストンのダストカバーをめくるだけでも漏れの状態を確認できますが。今回はブレーキシューを外してピストンを抜いてみます。「あ〜、こいつはいけないね。」


ハンドリングに関わる部分は上記以外にもラックアンドピニオンやストラット等もありますが、「各パーツに問題がないのにまっすぐ走らない」という場合はト−イン調整の不良なども挙げられます。また、「タイヤを新品にしたらなおった」というケースもあります。特にタイロッドエンドの交換時にはトーインの再調整が必要になることもありますので注意が必要です。チェックに自信のない方はクルマを持ち込んでいただければその場で簡単に点検も致しますのでお気軽にご用命ください。点検だけならもちろん無料です、ご安心を。それではまた。