04.5.1  高速道路で立ち往生<ライフワゴン・AT>


休日の昼下がり、「八王子インターで停まっちゃったよ〜」と電話が入りました。オートマライフワゴンの岩崎さんです。どうすることもできないので、掲示板でも話題の“JAF”にお願いして工場まで運んでもらいました。本人やジャフの方の情報からどうやら焼き付いているようでした。岩崎さんは昔の“サブロク限定免許”しか持ってないのでどこへいくにもこれ一台しかありません。この日も夫婦で温泉に行った帰りだそうです。帰りで良かったね。しかも高齢の為左足に力が入らない(腰のコルセットが物語る)ので、なんとしてもこのオートマを修理するしかないんです。さて、がんばって一日も早く修理してクルマを戻してあげなくては。

 


クランクを回してみる

まずはメガネレンチでクランクを回してみます。「あれっ、ちょっと回るね」でもあるところでひっかかってそれ以上は回りません。これって焼きついてるのかな〜?バルブが当たってるのかも?

今度はカムを回してみる

今度はヘッドカバーを開けてバルブのクリアランスを見てみます。どうやら問題ないですね〜。次はタイミングベルトを外してカムを回してみます。う〜ん、正常に回りますね〜。ということはやっぱり腰下に問題アリということですね。

ヘッドを降ろしてみる

とりあえずピストンを目視したいですね。エンジンは400CCにボアアップしてあります。指でピストンをゆすってみると動きがありますし、隙間からトップリングも見えます。これでもやっぱりクランキングはしません。メタルが焼き付いたか?でもオイルの焦げた独特の臭いもしてきませんね〜。

オイルパンを開けてみる

オイルはたっぷり入ってましたが、おびただしい量のアルミ粉末とゴムのかけらが出てきました。ゴムが出たということは犯人はバランサーギアでほぼ確定しました。

サイドカバーを開けてみる

バランサーギア側のサイドカバーを開けてみるとやっぱり!ドリブン側のギアが完全に死んでいました。このギアがカバーにひっかかってクランキングしなかったという訳でした。

降ろした方が早い

あれだけのアルミ粉が出ていたので、クランクケース内は全部ばらして洗ってやらないといけません。エンジンは車体から降ろしてしまいます。

クランクキャップボルト

このクルマはオイルフィルターを長年交換してなかったせいか、オイルパンに落ちたアルミ粉が隅々まで回ってしまいました。オイルラインのあるボルトの根元までばっちりアルミコーティングのようになってました。

徹底的に洗う

オーナーはオイル交換だけはこまめにやっていたそうですがフィルターはやったことがないとのことでした。幸い、ピストン、シリンダー内壁などは全く無傷でした。ピストンリングぐらいは交換したかったのですが、入手が極めて困難なのでそのまま使用しました。メタル、オイルシールなどは新品を使用しました。
アルミの粉は、壊れたギアが暴れてカバーの赤丸印の処を削っていた為でした。


入庫が突然だったのでクルマがあふれてしまい、しかたがないので社用のTNに乗って帰ってもらいました。
このTNはもともとこの方が乗っていたクルマなので左足の感覚がなくてもカンで乗れるそうです。
さすが元オーナーだけあって夫婦で乗り込むと似合いますね。でも大丈夫かな?
当店はクルマの置き場がないので突然の修理などの時には半強制的に代車を押し付けてしまいます。
その間、店にはクルマがないので今度はお客さんの送迎がバイクの2人乗りになっちゃったりします。
みなさんご迷惑おかけしてすいませんね〜。よろしくお願いします。

ちなみに岩崎さんのライフバンは修理が終わってもうお返ししました。
「あと10年は乗れるかな?」と言っていましたので、少なくともあと10年は現役で運転するつもりらしいです。
10年といわず、いつまでもお元気に運転して欲しいものです。
納車の時には逆に「キミも身体に気を付けて」と、高価なビタミンC錠剤の大ビンを頂きました。
どうもありがとうございました。今度は7月の車検の時にお会いしましょう。

高速道路で立ち往生<ライフワゴン・AT>おわり