04.5.21  ディマースイッチとハンドルボス<Z360・水冷>


杉並区のKさんが極上のZに乗って工場にやってきました。つい数日前に入手したクルマなので簡単に点検して欲しいとのことです。アイドルがちょっと不整脈なので、装着されているCRキャブや負圧配管などをちょこちょこ弄っていると、「カラカラ・・ガラガラ・・・ガラガラガラ〜っ」とベルトプーリー付近から音が出始めました。「調子出しどころじゃないね、」とプーリーカバーを開けてみるとウォーターポンプが息絶えていたのでした。Kさんにつらい告知をしてそのまんま入院です。壊れちゃったのは残念ですけど路上じゃなくてよかったですね。というわけで、ウォーターポンプのリビルドのみならず、納車まで時間があるのでその他のマイナートラブルも対処することにしました。

 


ディマ−スイッチの修理

ヘッドライトのHi-Low切替えスイッチが効かなくなっています。上目側がつかない上にカチッというクリック感もありません。ここのスイッチ自体は時々壊れることがあるので外して点検します。まずはステアリングを外しますが、テーパーでがっちり噛み込んでいますので抜くのに苦労することがあります。イキナリ抜けるとケガの元ですので写真のようにセンターナットは完全に外さずに数山残して付けておきます。このクルマも相当ガッチリはまりこんでました。

方向指示器レバーのオートリターン機構

ステアリングが外れた図です。オーナーの話によると、ステアリング位置によってウインカーレバーが入りづらいところがあったとのことです。矢印のダボつきリングの位置は写真が正解です。右のときにはオートで戻るのに左の時は戻らないなどの原因もほとんどがこのあたりの取り付けミスです。この位置がこのあと重要になってきますのでよく見ておいて下さい。

ディマ−スイッチをはずす

コラムカバーを外すとようやくスイッチが見えます。後ろのクリアランスが狭く、ビスも小さいのでナメてしまわないようにドライバーも丈の短いものを用意するとよいでしょう。どうしてもやりずらいときはコラムシャフトの取り付けクランプを外してシャフト自体を落としてしまいましょう。

外したスイッチの検証

Low側は導通ありですが、Hi側がなしです。カチッとクリックもしませんので内部のメカ的な不具合で切り替わらなくなっているようです。今回は中古部品がありましたのでそれと交換することにしましたが、汎用の3極スイッチをどこか別の場所に取り付けてしまうことでも対処は可能です。

久々に中型コテに火を入れる

樹脂スイッチの場合は小さいコテでじーっとハンダをあぶっているとケースなどが溶けてしまうことがありますのでちょっと大きめのコテ(今回のは50Wくらい?)でサッと溶かして手早くくっつけてしまいます。古いハンダを取り除き、あらかじめ端子とリード線にハンダを盛っておきます。ハンダも熱を加え続けるとつやがなくなりボソボソになりますのでカロリーの高いコテの場合はさらに熟練が必要です。

社外製のハンドルボス

スイッチ、コラムカバーを復旧してステアリングの取り付けです。社外のボスを組み付ける時に注意しなければならないのが取り付けの角度です。写真のようにどんな角度でも付いてしまうのでやっかいです。矢印の切り欠きがあさってを向いてしまっています。

ボスのトップ位置を確認する

社外のボスにはほぼ例外無くTOPの位置が指定されています。左はこのクルマに使用していたもので、なにやら矢印で示してあります。右は一般的な社外ボスですが、これにも三角マークでTOP位置がわかるように刻印があります。このマークがステアリングの上部中心にくるように組み付ければよいという訳です。

切り欠き位置もバッチリ

きちんと組めると切り欠きはこのようになります。この窪みが2枚目の写真のダボと噛み合うことによってウインカーレバーのオートリターンが正常に働きます。指で示している金色の部分はホーンのスイッチ接点として常時接触していますので薄くグリスアップをしておきましょう。

壊れたスイッチも気になる

スイッチが壊れた時にケムリが出たということでしたので、どこが燃えたのか気になりますね。配線などは特に燃えた形跡がなかったので、やっぱりスイッチ内部ということになります。ついでに構造も知りたいですしね。ノック式のボールペンみたいな仕組みだろうと予想していましたが、全然違いシーソー式でした。いかんせん樹脂の劣化で動作不良を起こすのは仕方が無いですね。問題のケムリは矢印バネ下の樹脂部分でした。本来はまっすぐ中心に立っていますが溶けて歪んでいます。溶けた原因は接点不良での発熱のようです。

美人巨乳センセイ(おまけ)

ステアリングを外そうとしてダッシュボードに振動が伝わった瞬間に、なぜかラジオのスイッチのツマミが美人巨乳センセイのブラウスのボタンのごとく「ポンポンポンッ」と弾け飛んでしまいました。この部分のエスカッションは矢印部分にナットで共締めされていますが、このクルマはそれがついていませんでした。この薄いナットはそこらじゃ売ってませんね。これは電子部品規格ですので秋葉原などへ行けば山ほど売っています。


ヘッドライトスイッチまわりが不具合を起こす原因として、
リレーを入れずにハロゲンランプなど高カロリーのライトを装着した時などに
接点などが過熱してスイッチが溶けたりハンダが外れたりすることがあります。
また、古い配線は抵抗が増えることによっても発熱します。
自動車の場合、電圧は12V程度ですが、電流が非常に大きいので
抵抗を喰うと、電線被覆やハンダをも溶かしてしまうんですね。
そのような理由でクルマの電装はコネクターとカシメのギボシを使用しているわけですが、
このテの古いクルマは今回のようにところどころハンダ部分があるためにやっかいです。
でもハンダ作業は楽しいですので、コテも20W.50W.100Wなど何種類か用意すると尚いいと思います。

しかし、このクルマは実物をお見せしたい程極上コンディションです。
ほんとビックリしますよ。ウチに入ってくるクルマの中では最高峰かも。
それでも本人はガンガン乗るつもりみたいですし、
とくにオリジナルにもこだわらない様子ですのでかえって安心です。
そのほうが間違い無くグッドコンディションを保てますしね。
やっぱり機械は動いてないと自分の役割を忘れてしまうようです。

ディマースイッチとハンドルボス<Z360・水冷>おわり