04.6.22 珍車?ホンダ145セダンのクラッチ交換


今回は静岡県からやってきました“ホンダ145セダン”という非常に珍しいクルマのクラッチ交換です。ボディーは空冷のホンダ1300をベースにしているようですが、エンジンはその後のシビックにつながる水冷4気筒が搭載されています。車体の状態も非常によく、また乗り心地もサブロクとは全く違い、ラグジュアリ〜、という感じです。普段あまりいじり慣れないクルマですが、だからこそワクワクしてしまいますね。張り切ってまいりましょう!


久々に鳥居登場!

オーナーよりお預かりしたシビックの整備書によるとクラッチ交換はミッションのみ脱着となっていたのですが、145の場合はサブフレーム形状の違いによりエンジンごと降ろさなくてはならないということが判明しました。手順をいろいろ検証した結果、ボンネットを外して鳥居にぶらさげる方法がベストであると判断しました。

ドライブシャフトを抜くには、

エンジンの脱着方法で、エヌのように車体を持ち上げて下から引きずり出す方法も考えましたが、足周りの分解を考えると吊り上げた方がラクなようです。足周りはロアアームとタイロッドのボールジョイントを外してドライブシャフトを引っこ抜きます。あとはエキパイやマウントの取り付けボルト、シフトロッドなどを床下に潜って分離します。


上の担当、下の担当

コーヒー野郎は床下足周り担当、お茶野郎はエンジンルーム内担当です。エンジンルームは水回りや各配線、配管など、よ〜くチェックしておかないと吊り上げた時に引きちぎってしまいますので、少しずつ上げては各パーツ類にストレスがかかっていないかを確認しながらの作業です。

エンジンとミッションを分割

車体から降りてしまえばライフ系と作業内容はそんなに変わりません。ただ、大分大きく感じますけどね。ケース内は油とライニングの汚れで真っ黒ですので、よく洗浄しておきます。可動部分への給脂はできるだけ少量にとどめておきます。


ライニングの減り

左が新品、右と比べて大分厚みが違います。こんなに減ってはいたものの、リベット頭はまだまだ潜っていました。

ダイヤフラムの違い

右の新品と比べると羽の数が違います。この部分は割れたりすることがあるので、数が多い方がストレスが分散して割れにくくなるような気がしますが、どうでしょうか・・


やっぱり落とし穴が・・

エンジンを再び搭載して復旧が終了しました。早速冷却水を注いでみるとバルクヘッド付近の配管から漏れがあります。ホースを抜こうと、ちょっとこじるとちぎれてしまいました。こいつの形状がちょっと曲者でして・・

H型ジョイントはホンダの証しか?

室内側ヒーターに水をまわすためのジョイントですが、やっかいな形状です。まん中の細い部分も中空構造なのです。ただのパイプでチョンチョンと繋いでしまってもよさそうですが、設計上の思想が全く読めないので、一応同じものを製作しました。当たり前のようにメーカー欠品でしたので。

いつもサブロクばかりいじっているので、たまに大きいクルマ(といっても小型の部類ですね)をいじると“あしたのジョー”のように真っ白に燃え尽きてしまいます。
それでも、たまには違ったものをみるのは面白いですね。エンジン、補器類などのレイアウトはEAエンジンと酷似していました。基本設計はライフで大体できあがっちゃってたんですね。

今回製作したHジョイントの構造理由を確認しようとダメ元でホンダのテクニカルセンターに電話で問い合わせてみたところ、「145というのは当社のクルマでしょうか?」などと言われてしまうほど珍しいクルマを真近で見れたことは楽しい経験でした。わざわざ遠方から来て下さったオーナーに感謝です。当方をご紹介くださったヨシムラさんやノンキーさんにもあわせてお礼申し上げます。ありがとうございました。

<ホンダ145・クラッチ交換の巻 おわり>