”類は友を呼ぶ“とでも申しましょうか、不思議とおんなじクルマやおなじような修理は重なるものです。先日はLN1(キング)が入庫して、納車の日にはもう1台現れました。(こちらは修理ではない)そして今日、LN3(スター)が入庫とLN続きです。そして先週から今週にかけて工場の中では水冷エンジンが2台バラされておりました。それぞれ症状は違いますが、どちらもヘッドがダメダメです。今回はライフとZの2元中継でお届けします、記事は縦にご覧下さい。
街乗り用ライフ 360cc 症状:オイルの減り早すぎ(2ストもメじゃない程)、パワー無さすぎ、排気煙モーレツに多すぎ、かかり悪すぎ。 |
レース用Z 450cc 症状:冷却水減りすぎ、そのせいか調子悪すぎ、排気音ウルサすぎ。 |
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ヘッドカバーを開けてタペットクリアランスをチェックしたら4本中3本のバルブが突き上げて隙間ゼロの状態。これじゃあ圧縮が出る訳ないですね。オイル喰いの原因究明もあるのでヘッドを降ろしてみましょう。 | まずヘッドを降ろしてガスケットをチェックしますと抜けた形跡が見あたりません。このガスケットは450用にワンオフで手作りしたものです。(製作はどても大変です) | |
燃焼室の中やバルブは混合気が薄かったおかげ真っ白です。プラグも小麦粉をまぶしたかのように恐ろしいほど真っ白でした。バルブ突き上げの原因はバルブシートの磨耗のようです。当り面が2mm以上あります。 | 左側ピストンが爆発不良だったようで、カーボンが少なくキレイな状態です。もう一度ヘッドガスケットの左側ボアを目を皿のようにしてチェックしましたが問題ありません。参考までに私にはまだ老眼の気配はありません。 | |
さて、シリンダーブロックはどうでしょう。オイルパンを開けると、異常なオイルスラッジが発生しています。どうやら焼き付き寸止めで走っていたか、ギリギリの量、またはふる〜いオイルで走行していたか、燃えなかったガソリンが降りてきたか、はたまた妙なケミカル剤を入れたかですね。タール状でネトネトです。 | こうなるとヘッド側を疑うしかないようです。ラジエターホースなどのラインを目止めして水を張ってみます。カムシャフト下の盲栓あたりもあやしいですが、その場合オイルに水が混じってメカノイズが増えるくらいでエンジンそのものの調子は良かったりします。さて、どこかにクラックでも入っちゃったのでしょうか? | |
ピストンを外して軽く洗ってみますとこの通りでした。リングの隙間からオイルが上がっていて洗われていたものと思われます。特に右側のピストンはうまく爆発していなかったようで、インレットバルブ付近がガソリンによって洗われています。 | 水を注ぐとなんとインレットマニホールドから涌き水が出ました。のぞき込むとピンホールがあります。細いドライバーで突つくと“ボソッ”と穴が空いてしまいました。以前にポートを拡大加工したらしいので、その時削り過ぎたようです。これじゃあエンジンの負圧でどんどん吸い込んじゃいますね。『混合気、水で割ったらアメリカン』 | |
随分と寒くなってまいりました。 暖房などの火の始末には充分ご注意下さい。 去年の正月に帰省した際に発見したTNのポンプ車?です どうやら現役みたいでしたよ。スゴイですね〜。 今年は灯油が高いです! |
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ピストンリングは極端な段付き磨耗がありましたが、割れてはいませんでした。シリンダーはどうかな?ということで新旧のリングを挿入して合い口隙間をチェックしました。基準値は0.2〜0.4mmで、0.6mm以上は修正交換です。予算の関係もありますし、今回はリング交換だけでいっちゃうことにしました。合い口隙間はシリンダー下部でもチェックします。 |
*オイル管理はしっかり、ポートの削り過ぎには注意しましょう* <ヘッドがイッちゃった人達・EAエンジン> おわり