またまた戻って参りました、ウチのライターのデザインでおなじみのケインさんの空冷スターです。ことの始まりは以前にもレポートした全損事故です。オカマを掘られたN3は5速ミッションが積まれていました。そして、この空冷スターは4速でしたが400シリンダーが積まれていたので、元の5速と組み合わせてこのクルマに積んだのです。しばらくすると走行中に機関車のようなダッダッダッという音が出始めました。特に4、5速でその音が顕著です。「またエンジン降ろすのかよ〜」とがっかりです。しかも日増しに音は大きくなってきます。力仕事になることを覚悟の上、再び入庫しました。 |
まずは車載状態で クラッチを切ると音が緩和されるので、まずはクラッチ周りからチェックします。ジャッキアップしてフロントタイヤをゆっくり回してみますと、プライマリーチェーンがたるんでいるような“スルスル、ボヨヨ〜ン”という感触があります。(文章での説明困難)プライマリーならクラッチをバラせば目視ができますので、まずはここからチェックしました。 |
非常にくたびれてます プライマリーのドリブンギヤの内部には黄矢印のダンパーが10コ入っているはずですが、こいつには9コしかいません。赤矢印の部屋はしばらく空家だったらしく、オイル汚れで無人状態を物語っています。 |
ほとんど要交換 プライマリードライブとドリブンギヤ、プライマリーチェーン、ゴムのダンパー、チェーンテンショナーはできれば使いたくないような状態です。スプロケットは山が尖っちゃってるし、テンショナーのローラーは2まわりくらい小さくなっていました。 |
以前ブローしたエンジンは 以前にコンロッドがひきちぎれてしまったエンジンのパーツを採取しようと開けてみましたら、こっちはチェーンテンショナーがバラバラになっていました。なにが起こったのかいまさら知る由もありませんが、みんなボロいね〜。とりあえずいいとこだけ使用して復旧。これで試乗してみましょう。 |
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やっぱりエンジンは降ろすハメに・・ 試乗の結果、結論は“ダメ”でした。プライマリー周りをOHしたおかげでスロットルのオンオフ時などのショックがなくなり快適にはなりましたが、機関車は依然いなくなりません。どうやらミッション内部で決定のようです。4、5速で音が出るということはその受け持ちの回転部分ですね。ミッションの入りは問題ないのでギヤ欠けではないと思いたいところです。シリンダーやヘッドはバラしたくないので、パイルドライバー攻撃でエンジンを逆さまにし、はずかしい格好にしてやりました。この状態でパンツを脱がしてやりましょう。 |
ベアリングか〜、よかった 開けてみますとギヤなどはきれいなもんです。ただ、右手部分のベアリングがガタガタのズタズタです。5速の場合、オーバートップのギヤがクランクケースの外に設置されていますので負荷のかかりが大きいのでしょうか、とにかくひどい状態です。単体で回すと機関車の音がしますので犯人決定!せっかくなのでもう一本のツリーのベアリングも交換しておきましょう。 |
復旧はツープラトンで 写真はエンジンを載せるべくサブフレームを洗浄しているところです。十分にリング上を清めたところで、今度はブレンバスターでサブフレームに戻します。重たいので中年ドリームタッグ(コーヒー野郎とお茶野郎)のツープラトン攻撃でとどめを刺してやります。 |
よかったですよ〜、試乗の結果はOKです。ケインさんは事故でエヌを失った後、このクルマのオーナーになりましたが、5速に積み替えや今回の機関車騒ぎで入庫期間が長かったのであんまり乗れてませんでした。これでようやく乗り回せますね。CRキャブの加速もなかなか心地よいフィーリングで、なおかつ街乗りにも十分順応しています。あとは高回転時のセッテイングをもう少し煮詰めれば、尚楽しく乗れることでしょう。ようやくこれで一段落したので空冷スターらしく走ってくれることでしょう。 |