05.11.11 やんなきゃならないとこだらけ<水冷Z360きみどり・その2>



 

前回は分解しながらシリンダー腰下までパーツをチェックしました。今回はシリンダーヘッドから順番にチェックしていきましょう。すごいことになってましたよ。ネオライフ工場内ではお手上げの作業もでてきました。おまけに水回りもかなりの強敵か?


バルブの点検

バルブシートとの当たり面・1

バルブをヘッドから取り外して状態をチェックします。写真左側のIN側バルブは当たり面にもカーボンが付着しています。この部分はバルブシートと密着しなければならない部分ですので通常はカーボンは付着せず銀色をしていなければなりません。これでは十分な圧縮が得られていないということになります。

バルブシートの当たり面・2

とりあえず付着したカーボンを取り除いてみました。すると当たり面部分に大きな穴が空いています。これはおそらく放置してある間に発生したサビによって侵食されたものと思われます。これでは当然圧縮不良となります。これでエンジンがかかっていたかと思うとビックリしますね。

燃焼室の点検

バルブとの当たり面

さて、バルブシート側ですが、案の定という状態です。シート部分は多数の腐食がみられます。ここまでいっちゃうとコンパウンドによる擦り合わせでは到底修正不可能ですので加工屋さんにお願いするしかありませんね。シートを打ち換えたのち、角度をつけて切削するという非常にシビアな加工精度が要求される作業です。

修正されたパーツ達

加工修正されたパーツです。とっても美しい仕上がりですね〜。バルブシート部分は新たなものを製作し、打ち換えてもらいました。バルブは切削修正でイケたようです。バルブの切削も状態によっては傘の部分が薄くなり過ぎて不可能な場合があります。そのあたりの判断も含めて、こういった作業は信頼できる加工屋さんにしか頼めませんね。

水路の点検

サーモスタットのケース

<写真左> サーモケースの中には劣化したクーラントの結晶がたんまりはびこっていて、1の小穴も完全にふさがっていました。これはバイパスホースへつながる水路ですので、ここがふさがっていたということはサーモが開きはじめるまでの間、クーラントは対流していなかったということになります。2は折れボルトを抜こうとしてこわしちゃったものと思われます。

<写真右> ホースとのジョイント部分もサビがたんまり。内側も1/3くらいまで埋まっているところもありました。こんな様子じゃ冷却も悪かったでしょうね。

再びシリンダーヘッドを点検

シリンダーヘッドの盲栓は?

サーモケースの状態を見たら水回りがちょっと気になって、カムシャフトの下部にあるメクラ蓋を細いドライバーでつついてみますと案の定“ズボッ”と貫通してしまいました。この様子だと薄皮一枚でギリギリ保っていたのでしょう。外してみますと写真右のありさま。アルミのサビとクーラントの堆積物でものすごい状況です。通常クーラントには防錆剤が入っていますので、劣化したクーラントや水のみを入れているような場合にはこうなることは必至です。今回の場合、放置期間が長かったせいだというのはあきらかですけど。しかもいままでほぼノーメンテでしょうね。


まだまだ先が長そうですね

 
しかし、このクルマはすんごいことになってますね。開ける前から“ヒドいんだろうな〜”と予想はしていましたが、ここまでとはね〜。ここまでやってもまだまだ先は長そうです。というわけでこの記事もまだまだ続きます。次回をお楽しみに。

 

 

やんなきゃならないとこだらけ<水冷Z360きみどり・その2>
その3へつづく