06.4.22 イイ季節に間に合った・・<長期入院のバモス4>



 

ず〜っと長い間工場の“やっかいもの席”に鎮座していたので、すっかりみなさんにもおなじみの1台になりつつあったバモスがようやく終了しました。オーナーが昨年夏頃に購入した時点で約10年程寝かしてあったモノとはいえ、随分お待たせしてしまいましたね〜。整備だけならこんなに期間もかからないですが、「ぜんぜん急がないよ〜」という甘いお言葉と、使い物にならなかった幌の製作や、なぜかペンキで塗られていた手すりと荷台の処理などで予想外に手間取ってしまいました。屋内保管車だったので腐りも極小(細かいサビはもちろんアリ)前のシートもオプションのセパレートシートがついているなど、かなりの上玉らしく、工場へ遊びに来たYMさんが「これは奇跡的な1台だよ〜」とよだれを垂らしながら長いことながめていました。いろいろと手間もかかりましたが、イイ季節にギリギリ間に合ってホッとしているところです。


手すりの処理

手すり?バー?(正式名称わからず)

作業前の写真を撮っていないのが残念ですが、なぜか白いペンキで乱暴に塗ったくられていました。簡単にペーパーをかけて上から塗装しようと思いましたが、どうにもならなそうなので元の下地ごと全部剥離してしまいました。一部新品未使用のモノがあったのでそれを見本にお馴染みの塗装やさんに持ち込みました。

幌は以前作業した玉ちゃんバモスの幌が生きていたのでちょっと借りてきて、クルマごと見本として職人さんに預けて造ってもらいました。元々のキャンパス地の素材は長く保たないとのことなので、縮みの少ない材料で、スクリーンも高級スポーツカーなどに使用する厚みのある良質なもので造ってもらいました。

どれが見本だかわからなくなっちゃった

YMさん曰く、この色を出すのが難しいとのことでしたので、塗装やさんには「ある程度合ってればいいよ」と発注したのですが、見事に質感まで再現してくれました。色をつくるときは何度も試し塗りをして微調整を繰り返して調色したそうです。「よし、これだ」という色ができたので、さて塗ってみると曲面に吹き付けた時にまた見映えが変わっちゃうので再度調色したりして・・ご苦労があったようですね。車体に取り付ける時には矢印のゴムパッキンを探してきて挟み込みましたが、こんなの最初についてたっけ?と思ってしまいました。ついてたような気がしたんですが、外した部品の中に見あたらないんですよ。たぶんオイラの思い込みだったんだと思いますが、せっかく用意したので・・

荷台も強敵

ダンプカラー?

荷台を含む車体内側はなぜかダンプカーのようなあざやかな緑色で塗られています。ここも当初はゴミを取り払って上からつや消し黒かなんかで塗っちゃおうと打ち合わせしていました。黒にしようと思ったのは、元々の色が大分褪せているので色合わせが難しいだろうとの理由です。荷台の処理をする前に昇り降りを必要とするキャブのオーバーホールやポイント回りの作業など先に済ませておきました。

いざ作業!

ゴミを払って塗料などの材料も揃えて、塗装前の脱脂を行なおうとアセトンで拭いてみますと、なんだか下色が見えてきました。意外にもダンプ塗装がコーティングの役割を果たしていたのか、荷台の塗装はフレッシュなままで、驚く程サビも少ないのです。「よし、いっちゃうか!」と2人がかりでウエスでごしごしと拭き取ります。ひとしきり作業するとオイラはアセトンの香りで頭が痛くなってしまいましたが、お茶野郎は一服もせずに黙々と作業を続けていました。こいつはすっかり違う世界に行っちゃったみたいです。この作業に向いてるね、おかげで助かるよ。

塗装落とし作業は続く・・

背もたれも・・

これだけの面積があるとなかなか作業も進まず、だいぶ日数もかかりました。一度拭きでは仕上がらないので、ウエスを換えて何度も拭き直します。座席背もたれの裏側はツメを起こして表皮をめくってキワまで作業します。このツメもサビて状態が悪いと起こした時にみんな折れてしまいますが、このクルマの場合はほとんど生き残りました。見るからにダメそうであればこの方法は使えなかったですね。結局、アセトンは一斗缶の8分目くらいまで消費しました。

細かい部分の仕上げ

手すり部分はハケで塗られていたらしく、車体のところどころに白ペンキが垂れてしまっています。この白はアセトンでは落とすことができず、特にゴムやプラスチック部分はやっかいで、カッターなどで地道にこそぎ落とし、最後にシリコンスプレーで仕上げました。車体外側は色褪せしてつやが無くなっていましたが、水あかワックスでさっと磨いてワックスを何度かしみ込ませるように塗り付けたら大分いい感じにツヤも復活しました。

ウインカーの増設(盗作?)

配線を増設

めんどくさいので車検を取得してからもしばらくやらなかった作業です。オーナーから、「どこかで見たバモスに、ミニのウインカーが増設してあった」という方法を提案されていました。テールレンズ横にあるグロメットを外してそこに押し込むとピッタンコとの情報です。やっぱりワンテールだと他車からの視認性が悪くて危険ですもんね。サブロクのエヌに輸出用の2色テールを取り付ける場合も同じく、ウインカーを増設するには配線の手直しが必要です。元々のワンテールの場合だとストップランプとウインカーランプが共用になってますので、そのまんまウインカーを配線するとブレーキを踏んだ時にウインカーも点灯してしまいます。もちろん逆でも同時点灯ですね。配線を検証するのには下に潜るよりもレンズユニットを外してしまった方がてっとり早いですね。出来上がった姿を見たら“この方法ってあの人のバモスかな?”と心当たりがありましたので、今度会ったらお断りしとかなくっちゃね。配線の仕方については配線図とにらめっこして検証して下さい。


「ブレーキも当然10年モノ」

 

これにて完了しました。今回は写真がないのでご紹介しきれませんでしたが、上記以外にもウインカーがつかない、ステアリングのガタ、ブレーキマスターのOH、ヒューズボックスのOHなど、細かいことも含めていろいろと作業しました。

最近、あちこちでバモス熱が高まっているようで、よくみんな探し出してくるよな〜と感心するばかりですが、てっきり探してもなかなか出てこない車種だと思ってました。みなさんハナが効くというか、やっぱり好きで情熱があれば安価で見つかるもんなんですね〜。こうしてちょくちょく目にしたりドライブしたりする機会があるとやっぱり欲しくなってしまう1台です。すでにこのバモスもお友達に激しく狙われているようです。外装もなかなかのもんだし、整備の結果、機関も絶好調なのでもちろんオイラも社用車として狙ってます。でも現在使用中のTN5も捨てがたいしな〜、というわけで、整備や車検の時に時々乗れるだけでも幸せなことだと自分に言い聞かせておくことにします。でもやっぱり虎視眈々と・・

 

 

イイ季節に間に合った・・<長期入院のバモス4>
おわり