06.5.24 クランクを入れ換える<モンキーCZ100>・その2



 

前回からの続きです。結局、元のクランクケースを生かして良い状態のクランクに入れ換える作業となりました。結構おおごとですが、オーナーから沢山のスペアパーツとエンジンをまるごと1台おあずかりしていたのでなんとかなりそうですね。でも古い車両は内部で何がおきているのか分からないので、油断は禁物です。うまくいくといいんですが・・


エンジンの分解

メイン機とドナー機

元々車両に搭載されていたメイン機のクランクケースを生かして良品を1台組み立てることになりました。クランクはドナー機のものが良い状態なので、これに入れ替えです。クランクを取り出すにはクランクケースはほぼバラバラに分解しなくてはなりません。この狭い机の上で2台のエンジンがほぼ総分解となるワケです。

特殊工具

モンキーショップに行くと沢山の特殊工具を売ってますが、最低1と2はあると便利です。1.ジェネレーターのプーラー、2.クラッチハウジングのソケット、3.プーリー回転止めホルダー
3は専用品ではありません。本来はシザースホルダーを使用しますが、手持ちがないのでこれで代用しました。これらはその後のOHCカブエンジンでも共通で使用できます。カブエンジンの場合、特殊工具は全くなくても工夫でなんとでもなりますが、どうしても力技に頼らざるを得なくなってしまいますので、道具はあるに越したことはないですね。

特殊工具を使って・・

ジェネレーターを外す

この部分はテーパーで噛み込んでいますので、中央のボルトを緩めただけじゃ外れません。プーラーを写真のようにセットしてモンキーレンチで押さえながら中央のボルトを締め込むと“パコッ”と外れます。矢印は樹脂の柄のドライバーをコンロッド部分に噛ませてクランクの回り止めにしています。市販品のコンロッド押え工具もありますが、金属(アルミ)製なので個人的にはちょっと抵抗があります。もちろん大丈夫なんでしょうけど・・

クラッチハウジングを外す

クラッチ部分はスプラインで入っているだけなのでロックワッシャーのツメを起こしてボルトが緩めば引き抜くことができますが、このボルトが特殊な形状をしています。ここも空転してしまうので上記のプーリーホルダーなどを利用して回り止めをして緩めてやります。クラッチ板の交換にはやはり特殊工具が必要ですが、自分はシャコ万やベンチバイスを利用して分解しています。

やっぱりエンジンは降ろすことに・・

クランクを取り出す

順番に分解していき、この状態になるとようやくクランクを取り出すことができます。ケースを開ける時はケース側にワッシャーなどパーツがくっついてきたりするので、どこにどれがつくのか、よく観察して覚えておくことが肝心ですね。また、ミッションツリーは不用意に持ち上げるとバラバラになりますので、これも注意です。

ギアプーラーの工夫

カムを駆動する為のギアは元のモノの方が状態が良いので組み換えることにしました。ギアに2箇所、何にもついていないカラのネジ穴があり、「なんだろうな〜」と思っていたのですが、なるほど!ここにボルトを突っ込んでプーラーの要領でギアを外す為だったのです。しかし、元のクランクについていたギアにはなぜかこのネジ穴がありませんでした。

クランクを組み込む

カムのドライブギア

カムシャフトのドライブギアにはドリブンギアとの合わせマークがついていますが、ドナーのギアにはこのマークがありませんでしたので、位置出しをしてポンチマークを打っておきました。ネジ穴が切ってなかったりなど仕様は違いますが、ギアのサイズ、齒数など互いに同じなので換装しても全く問題ありません。

腰下コンプリート

当然ですが、組み立ては分解と逆の工程です。各部をチェックしながら内部のゴミなどを取り除いて慎重に組み立てます。焼き付きの形跡があったエンジンですので、特にオイルラインはしっかり洗浄しました。このエンジンはカムシャフトがオイルポンプを兼ねています。矢印部分のはみ出たパッキンはケースを組み合わせてからカットします。


次回は試乗!

 
あとはシリンダー、シリンダーヘッド、キャブを組み付けてエンジンは完了です。腰上の組み付けはスペースの都合で割愛します。次回はエンジン搭載〜各部調整〜試乗〜いよいよ完成です。お楽しみに!

 

 

クランクを入れ換える<モンキーCZ100>
その3に続く・・