07.2.22 「お客さん、事件です!」その2<空冷Z>



事件ファイル・その2



前回の事件はご挨拶程度、足回り、ブレーキもほぼ終了して、車検取得に向けての作業が続くわけですが、作業が進むにつれ、徐々に一筋縄では行かなくなってきます。今回もまだエンジンの調子出しに突入できません。予定の作業と予定外の作業、いろいろとご紹介です。


これは事件だ!

パーキングブレーキレバーが・・・

パーキングブレーキのレバーがグラグラしてます。「取り付けボルトが弛んでるのかな〜」くらいに思っていたのですが、なんとモノコックボディ自体に亀裂が入っていました(写真左)パーキングブレーキははテコの原理により、かかる力が大きい為、鉄板が巧妙な二重構造になっていて強度を確保しているみたいなのですが、この有り様です。とりあえず表皮の亀裂は溶接でつないでおきましたが(写真右)この下の鉄板に作業が及びません。クルマを逆さまにすればなんとか対処できるかもしれませんが、全く現実的じゃないですね。このままじゃ危険すぎますので、なんとかしなきゃ・・・


アテ板作戦

アルミブロックで・・

いろいろと悩んだ末、ボディ裏側からアテ板により挟み込む方法が得策と考えました。しかし、この部分にはレバー固定用のナットが溶接されていますので、平たい板だと押え込めません。そこでアルミの板をはぎ合わせて、ナットの逃げを設けたものを製作しました。(写真左、丸印がナットの逃げ部分)
取り付けはボディ下からボルトを入れて、室内側をナットで締める方法を選択しました。アテ板はフロアのトンネル部分(エキパイの真上)にピッタリのサイズにして、横方向のずれによって緩むことがないように考慮してみました。(写真右)これでようやく思いきりレバーを引くことが可能となりましたね。


ピニオンブッシュの修理は定番

ピニオンブッシュの不良

空冷ZもエヌやTNなどと同様に、ラック&ピニオンのガタが発生する粗悪ブッシュが使用されています。この車両も例に習ってブッシュ周りのゴムが溶けて無くなっています。(写真左、矢印部分)古いグリスは洗い流し、ブッシュは対策品の樹脂製のモノを入れて、ブーツやダストカバーも新品を使用してフルオーバーホールです。タイロッドエンドは入手が困難なので、修正して再利用します。


強制冷却ファン

強制ファンは泥だらけ

エンジンからのオイル漏れがあったりするとファンカバーの内部は泥だらけになっています。(写真左)これではヒーターを入れた時にオイル臭くてたまらないので、外した時には必ず洗浄します。しかし、洗油などでジャブジャブ洗うと矢印部分のプーリーの裏側に入っているベアリングのグリスが溶け出してしまうので、注意が必要です。ここは分解時に樹脂のプロペラが壊れることが多いので、よほどの事がない限りベアリング交換作業も避けたいので、時間をかけても少しづつ気を使いながら洗うようにしています。
ケース外側のプーリーはガタとゴロゴロ音がありましたので、分解してベアリングを交換しました。(写真右)


キャブにも事件が!

キャブはどうかな?

さて、いよいよキャブをオーバーホールすればエンジンをかけて調子出しに突入できます。外部とピストンまわりの汚れはヒドイですが、(写真左)フロートチャンバー内は実動車だけあってきれいでした。ただ、片側のピストンのニードルホルダー底部分のカシメがゆるんでパクパクしてます。半分くらい落っこっていた状態なので、この部分が当たっていたキャブボディ側も盛大に削れてしまっています。(写真右)これではバランス的にどうにもならないですね〜、空燃比もデタラメになってしまわないか心配。

*その後、(次回に続く事件の後に)エンジンをかけてから調整を繰り返し、最終的にミクスチャースクリューの戻しとツインの同調をずらすことによって、幸いにもアイドルもカブることなく安定し、スロー、プライマリー、セカンダリーのつながりも全く問題ない状態にはなりました。しかしスロットルのイニシャル位置を決めるスクリューを全閉にしても1100回転以下に落ちない状態になってしまいましたが、排ガスの測定数値でみてもきれいに燃えているようですし、渋滞、クルージング共に実用に問題はなかったので結果オーライです。


次回の事件はこのプラグが発端



アルミを連れてきちゃったネジ山(矢印)


キャブもできあがったので、いよいよエンジンをかける段階までこぎつけました。その前に儀式としてプラグを外してみると、盛大にアルミ粉がついてきたんですね〜。おそるおそる再度ネジこんでみると・・・

やっぱりナメちゃいましたね〜!

ということはリコイルを入れる為にヘッドを降ろさなきゃなんないということです。この時点では、
「一体いつになったらエンジン音がきけるんだろう?」
とがっかりです・・・・
が、がっかりしている場合ではないのです、その後の顛末は次回に続くのです!

 

 

「お客さん、事件です!」その2<空冷Z>
その3につづく・・