07.5.23 いろいろやっちゃいましょう<水色ステップバン>



はるばる長野より



長野県のKさんから「ステップバンの足回りをオーバーホールして欲しい」との依頼を頂きました。ご本人はお忙しいので、お会いする前にとりあえずクルマだけ陸送にて入庫しました。
一応、エンジンがかかって自走はできるのですが、エンジンからけたたましい打音が発生してます。ものすごく“やっば〜い”サウンドです。ご本人に連絡して「2度とエンジンをかけたくないくらいの音が出てますよ」と伝えたら、「やはりそうでしたか、それではエンジンもやっちゃって下さい」とのことで、足周りより先にエンジンを何とかすることにしました。それでは早速開けてみましょう。




まずはシリンダーヘッドから

エンジン降ろし準備

あれだけの音なので、エンジンおろしは必至なのですが、とりあえずシリンダーヘッドから降ろして順番に様子を見ていきましょう。降ろすのも分割した方が断然楽ですもんね。まずはクーラントを抜いてキャブを外して、タイミングベルトを・・・

ピストンに到達

ヘッドを外すとピストンがあらわになります。この状態でスパナでクランキングしてピストンのガタをチェックしますが、左のピストンが上死点の位置でこんなにも落っこっちゃってます。(矢印)右のピストン位置と比べてみて下さい、これはヒドイぞ!


音の原因

エンジンからの打音

エンジンの不調を伝える異音にも様々ありますが、回転を上げた時についてくる、金属がぶつかる音には特に注意です。タペット音でしたら調整で解決することが多いですが、もっと低いサウンドのカタカタ音やゴトゴト音はコンロッドやクランクのメタルかもしれません。このエンジンの場合、メタルのガタが過大だったのでピストンが燃焼室に当たっていました。(赤丸印)ここまでの状態だと、それはそれはすさまじいガツガツ音です。


やっぱりシリンダーも降ろす

シリンダーも降ろす

シリンダーヘッドが降りていればシリンダーも降ろしやすいですね。ついでにクラッチユニットがつながるミッション部分も汚れが酷いので洗っておきました。レリーズベアリングも一緒に点検。

オイルパンの中身

オイルを抜いた後のオイルパンのゴミも要チェック。ここにどんなものが沈澱しているかで、不具合部分をあらかた予想します。メタルと思われる銅の粉とアルミと思われる灰色の細かい粉が多数見られます。


腰下分解

ピストンの状態

上記のようにピストンにはバルブスタンプがついています。シリンダーから抜き出してみるとトップリングも割れています。この状態ですとオイル消費も多く、ブローバイガスもわんさか出てきてしまいますね。

メタル類は・・

コンロッド、クランク共にメタルは銅色が出てきて、剥離もあります。特にコンロッドメタルは銅部分が全て無くなって銀色部分のみになってしまい、ペナペナ状態です。これではダメダメですね。



よ〜し、だいたいわかった!



クラッチもきちんと作業ね、


これでエンジンの様子はだいたい解りましたので、オーバーホールに向けて準備をします。メタルの磨耗が激しく、クランク、コンロッドも使える状態なのか気になりますね〜。一通りばらして洗浄した後、さらに細かくパーツチェックを行ないます。そしてシリンダーヘッドは無事なのか?すんなり作業は進むのか?!次回に続きます。


いろいろやっちゃいましょう<水色ステップバン>
つづく