08.2.17 時間と手間をたっぷりと・その1<N360>




さ〜て、始めるよ



久々に新しいシリーズ開始です。前回までの記事のバモスが居座っていた工場一番奥、通称“塩漬け車置き場”の位置には“運び屋Yamaさん"の赤いN2が押し込められました。今回はエンジンを分解リフレッシュするわけですが、まだ完全に壊れたわけではありません。オイルの消費量と排気煙が黙認できないくらいに増えてきたので、いろいろと打ち合わせた結果、深刻なダメージを受ける前にやっちゃった方がいいだろうということになったのです。それとオイル漏れも結構ありました。Yamaさんの職場は“ISOナントカ工場標準”に準じて運営しているので駐車場のオイル染みとかもいい顔をされないらしいのです。
「どうせやるなら時間と手間を惜しまず、ぜ〜んぶバラして出来る限り手を入れてください」と、うれしくありがたいお言葉を頂きました。さ〜て、そうと決まればどんどんバラしていきましょう!





下回り確認

下回りはネトネト

このクルマのエンジンは一度も開けられていない(降ろしていない)ようです。Yamaさんはいつもエンジンルーム内もできるだけきれいにしていますが、手の入らないエンジン裏側やサブフレームの隙間など結構な量のオイル泥が堆積しています。エンジン本体はシリンダーやカムケースの隙間などから漏れているようです。あと、空冷お決まりのドライブシャフト付け根、デフのフランジ(写真右)部分からもしっかりと漏れているようです。



エンジン内部はどうかな?

長年乗り続けるとこうなる

このクルマに乗りはじめてから数年間、毎日通勤で使用していてこまめにオイル交換もしているのですが、カムケース内はご覧のようにカーボンとタールでネトネトになってます。おそらく乗り始める前にこの状態だったのでしょう。一度こうなってしまうとどんなにまめにオイル交換をしても汚れは落ちないということがわかりますね。ロッカーアームもカタカタとスムーズには動かず、ネト〜ッとした動きでした。
ピストンはサイドの縦傷も少なく、リングも形を残していましたが、オイルリングの溝はびっしりとカーボンが詰まっています。






オイルはどこから漏れるのか?

オイル漏れがしやすいところ

車載状態でシリンダーまで降りたので、今度はドライブシャフトやエキゾーストを外してサブフレームごと腰下を降ろします。この状態ですとオイル漏れの箇所をより特定しやすいですね。
<1>ここは漏れるというより漏れたオイルがたまりやすい場所です。じゃんじゃん溜まるとマウントゴムの変質も心配です。
<2>上の写真でもありましたが、デフフランジオイルシールやその奥のOリングのへたりによって漏れてきます。
<3>リバーススイッチが緩んでいる場合も結構盛大に漏れてくることがあります。しかし、これは締め付けすぎると簡単に折れてしまうことがあるので増し締めは非常に気を遣います。よ〜く脱脂してシーラーで固めてしまう方が無難かも。

ダイナモの裏側

セルダイナモ一式を外すとクランクのベアリングホルダーが見えます。ここからのオイル漏れはもちろんオイルシールのへたりやシールリップの割れが原因ということもありますが、4本のボルトの弛みによって漏れていることもままあります。ボルトが緩むというより、30年以上が経過したパッキンがカチカチに変質して、パッキン自体の厚みが薄くなり緩んでしまうのではないかとも思うんですけどね〜。ここからの漏れがひどいと、ステーターコイル下部に溜まったオイルをローターが掻き揚げてコンミテーターに付着し、発電や始動不良に陥ることもあります。ダイナモ周りのトラブルはホントに困りますね。



その他順番に

クラッチの裏側

クラッチユニットを外したフライホイール裏側にもオイルシールがあります。ここはよっぽどの量が漏れないとクラッチにオイルが回ってこないとは思いますが、ほとんどの場合、クラッチハウジングの内部はドロドロになってます。このオイルシールも当時のホンダの特寸サイズなので入手は困難です。しかし、ここは以前から構想を練っていた対策を試してみようと思っています。

で、分解の最後は上下2分割

両サイドカバーなどを外し、ケースをひっくり返してクランクケースを上下に割れば分解は大体終了です。クランクホルダーも美しい程に真っ黒ですね。ギア類はいつもこすれあっている為か、きれいなもんです。ケース内部もまっくろですね。大きいし入り組んでいるので洗うのが面倒ですが、開けたからには内部はピカピカに、外観ははそこそこでということで。






いよいよここからがスタート



カムチェーンテンショナーは
クランクケースを割らないと交換不可

こんな感じでいろいろとチェックしながら分解は終了です。汚れはヒドイけど各部の状態はまずまずといったところでしょうか。オイルシールやベアリング、(写真矢印の)テンショナーローラーもリフレッシュする予定です。その前に各パーツをすべて洗って再度チェックと修正をしておかなくてはなりませんね〜。これからしばらくの間はつら〜いパーツ洗浄作業になるわけですが、あらかじめ完璧に全てを洗っておいて、きちんとパーツを整理しておきます。そして組み立て作業当日(エンジンを組むときはほとんどの場合没頭できる夜からスタート)はコーヒーを湧かし、選び抜いたBGMを25連奏CDチェンジャーにセットし、タバコと夜食のパンを多めに用意して・・・その楽しい作業を思い浮かべながら、まずはしこしことパーツ洗浄にいそしむとしましょう。

次回はパーツの再チェックと修正の予定


時間と手間をたっぷりと・その1<N360>
その2につづく・・