ワンオーナーのステップバンが登場です。大事にしているだけあってビッカビカです。扉のチリなんかも完璧で相当なよろしいコンディションですな。塗装はやり直してるらしいですが、元々この色なんですって。こんなカラーもあったんですね。

で、今回の修理はエンジン。以前、どこかのディーラーで大きいピストンを入れてもらって約４２０ccまでボアアップしているらしいんですが、走行中に突然吹け上がらなくなったとのことです。入庫してからエンジンをかけてみたら重々しいアイドリング音と共にブローバイから煙がもうもうと・・・こりゃだめだ、エンジンを開けてみましょう。

エンジン内部でなにかが起きているはず

圧縮を測ってみよう

いきなり開けちゃうのもなんですから、外から確認できるところからチェックしていきましょう。プラグは両側ともに白っぽく焼けぎみです。というより、随分と燃料が薄かったようにも見受けられます。シリンダー圧縮はご覧の通り、左が異常に低いです。これはシリンダーかバルブ周辺になんらかの事件が起きていると考えて間違いなさそうです。よし、開腹決定です。

まずはピストンリング折れ

随分とデカいピストンが入ってますな〜。トップリングが折れてるのはいいんですけど（よくないけど）なんと２本リング仕様でした。通常の街乗り車の場合、写真の２本の間にオイルをかき落とす役割のセカンドリングが設けられています。どうやらなんかの車種のレース用ピストンみたいですね。しかもコンロッドの取り付け方が逆さまになってる・・なんかいやな感じのエンジンですな〜。

その他〜完成

フライホイールもノーマルに

チューニングエンジンには極端に軽量化したフライホイールがついていました。それを使おうかさんざん迷ったんですが、オーナーに電話して普段の乗り方を確認したところ、「別段飛ばすわけでもなく、ただただ普通に乗りたいだけ」とのことなので、やはり部品取りエンジンからの純正ノーマルを研磨修正して使うことにしました。

いろいろあってようやく完成

結局、フルノーマルで組み上げました。例のでかいピストンを入れてオーバーホールしてからたいして距離も乗っていないとのお話のごとく、メタルやバランサー周りも非常に状態がよく、そのまま洗浄修正して再使用しました。バランサーチェーンは純正が出なくなってから長い期間たっているので、前回再使用したとの推測で新品を組み込んでおきました。

ど〜んとオーナー登場！

しばらく乗り回したところで、いよいよ納車です。オーナーのY氏に「今回の作業内容をホームページに載せてもいいすか？」と尋ねたところ、「それじゃあ、ぜひオレも一緒に出してくれよ、オレはいろんなとこにどんどん出たいんだよ」とのことですので、顔出しで登場してもらいましょう。クルマのルックスだけ見ると、どんなトッぽいあんちゃんが乗ってるんだ？と思っちゃうんですけど、新車からのオーナーですから当然オン歳６０オーバーです。でもオイラみたいな若造ともついついバカ話しが盛り上がっちゃうシャレの利くイイ兄貴という感じですよ。若い頃はさぞかしモテたでしょうね〜、イヤ失礼、もちろん今もカッコいいです。みなさんも街で見かけたらどんどん声をかけちゃいましょう。