08.10.29 なんとまあ、えらいことになってます・その1<ステップバン>




コイツは沼です



信号待ちから走り出したとたんに突然“ガキッ”という悲鳴とともに停まってしまったというステップバンが入庫しました。一体な〜にが起こったのでしょうか?バランサーギアでもはじけたんでしょうかね〜、くらいの感じで始めてみたのですが、玉手箱エンジンを開けた瞬間に髪の毛はどんどん抜け落ち、血の気は引いてしまい、1週間ですっかりおじいさんになってしまったオイラなのでした。




おせち料理は嫌いじゃないが・・

不安その1

まずはクランクボルトをスパナで回してみます。が、途中でつっかえてしまいそれ以上回りません。この時ははぶっ飛んだバランサーギアでも引っかかってるんだろうか、くらいに思ってたんですが、ヘッドカバーを開けてタペット隙き間を見てみると、赤丸のところのクリアランスが1センチくらいあります。こんなに隙き間があったら最初からエンジンはかからないでしょうから、なんらかの原因でバルブが曲がって途中でつっかえているものと予想されます。いや〜、これはただごとじゃなさそうですな〜。

オイルパンをあけてみると・・

まずオイルを抜いてみると、ちょっとキラキラしたものが混じっています。下から内部を覗くためにオイルパンを外してみると、重箱の中には美味しそうな具がたくさん入っていました。よーく伸びているコンロッドメタル、よーく熱が通ってちぎれたコンロッドのビッグエンド、なんと豪華にクランクキャップの破片も入っているぞ、オイラの大好きな甘辛煮だ!わ〜いわ〜い・・・びえ〜ん(号泣)



エンジンを降ろしながら検証

バルブ曲がり

とりあえずエンジン降ろしは必須のようです。タイミングベルト切れかと思いきや、ベルトは無事。ヘッドを外して燃焼室を見てみるとやはり矢印のバルブは盛大に曲がっていました。何らかの原因でピストンとぶつかったものと思われますね。さらに丸印の部分にピストンがぶつかった跡もあります。

ピストンがでたらめに

やはりピストンにもぶつかったダメージがあります。しかも段違い。オイルパンから出てきた内容物から想像するに、コンロッドがちぎれてフリーになったピストンが暴れた結果、エンジンが破壊してしまったようです。






シリンダー内部の様子

バランサーギアがずれてる

バランサーギアはチェーンとともに見た目は大丈夫そうだったんですが、片側のボルトが緩んでもすごく渋くて・・外れてみたらこの通り。エンジンがいきなりロックしたのでその勢いで位置あわせのはめ合いがズッコケちゃってます。これにはびっくり、全く信じられない状況。

クランクもダメか〜

コンロッドがちぎれた側のクランクジャーナルもかなりのダメージを喰らっておりました。ちぎれたビッグエンドがバシバシヒットしたんでしょうね〜。



さらにさらに・・

シリンダーブロック

シリンダーブロックはコンロッドビッグエンドにヒットされて完全に穴があいちゃってます。内部はスリーブの下側が割れていました。結局、シリンダーからクランクまで、腰下は使えるところは何も無いという状態ですね。ヘッドもあれだけのバルブの曲がり方ですから、ほぼ間違いなくバルブガイドが割れてるでしょうから、やっぱり使えないですね〜・・全滅。

クランクキャップボルト

現在のオーナーは乗り始めて1年くらいでしょうか。普段からオイルは点検していたとのことです。しかし、内部のオイル汚れは相当なもんでした。クランクキャッブのボルトにはこの通り、乾いたオイル垢がべっとりと付着しています。ということは、以前に相当過酷な条件で酷使されていたために劣化したオイルが固まってオイルラインが詰まってしまい、コンロッドが異常な熱を持って引きちぎれてしまったのではないかと予想されます。






気合いだ〜、オレ〜



なんとまあ、えらいことになってしまいましたとさ
<おしまい>

というわけにもいかないので、オーナーが所有しているもう一台の不動のステップバンがあるとのことなので、不動でもこのエンジンよりは間違いなくマシだろうと、ご自宅へお邪魔してエンジンを降ろしてきました。誰かが組み直した形跡はあるものの、ほとんど走らない間に動かなくなってしまったみたいで、内部はまずまずきれいです。さて、これを工場に持って帰ってあとは組み直すだけといきたいところですが、こちらはこちらで問題が発生。むむむ・・ぬぬぬぬぬ・・・ぬるぬるぬるぬる・・・ずるずる・・


なんとまあ、えらいことになってます<ステップバン>
その2に続く・・