08.12.9 なんとまあ、えらいことになってます・その3<ステップバン>




いよいよエンジン搭載!



いろいろと回り道しながらようやくエンジンは組み上がったんですが、車体に搭載する前にまだまだやることが山積みです。まずは搭載前の儀式、ミッションベルハウジングの洗浄を行い、いよいよ準備作業開始です。




切れやすいステップバンのクラッチケーブル

オーナーの苦労の跡が・・

クラッチケーブルが切れてしまったらしく、手持ちのライフ用を流用したとのことです。ステップバン用に比べてライフ用はケーブルの突き出しが長いため、矢印のごとくバルクヘッドの部分でクリップとモンキーレンチをゲタにして長さ調節されていました。なるほど、緊急時に使えるナイスなアイデアですね。

製作したクラッチケーブル

いいアイデアとはいえ、あのまま使う訳にもいかないので、こちらで製作したケーブルを取り付けました。ステップバンは角度が急なため、ケーブルが切れやすいのですが、ベダル部分に引っ掛ける金具が欠けてしまうこともままありますね。ステップバンだけでなく、ライフ用やエヌ用など、またメーター類やスロットルのケーブルも製作可能です。



クラッチペダルのフィーリング改善

折れてる・・

このバネはミッションのレリーズアーム部分についているリターンスプリングです。右が良品、左がこのクルマのもので、端っこが欠損しています。ここもよく折れてしまいますね。折れてしまうとバネの機能が無くなってしまい。ベダルの遊びが大きくなってケーブルの調整が効かなくなったり、レリーズベアリングがクラッチダイヤフラムと常時干渉してベアリングを傷めたり異音の原因にもなったりします。

すでにメーカー欠品

ちょくちょく折れてしまうんですが、すでにメーカー欠品ですので、ひと巻きほどいて再生します(左が再生したもの)ミッションの下の方についているだけあってサビがひどいですね。いつまで保ってくれるのやら・・あとふた巻きくらいはイケそうですかね?






配線修理はめんどくさいよね

配線の修正

このクルマは流用品のオルタネーターがついていたため、レギュレターユニットが外され、配線も変更されていました。ところどころ切ってあったり、ねじねじ結線だったり、更にはメインヒューズも外されている始末です。ビニールテープをほどいて1本1本確認しながら足りない部分を継ぎ足し、テスターで導通をあたりながらノーマルのオルタネーター用の結線に戻しました。

レギュレターなど

配線ができあがったので、用意したメインヒューズボックス、レギュレーターなどを所定の位置に取り付けます。さらにセミトラもこの位置に装着。青いケーブルはアーシングです。アーシングはシリンダーヘッドのブロック部分に一本入れておくと水回りの電食による腐食の防止になります。適切な場所になるべくカッコ良く配線ですね。



キャブ〜完成!

キャブも総分解

エンジンを組んだときにはキャブも含めてトータルで作業させてもらっています。キャブは開けてみたらフロートの不良、ジェットの詰まり、ゴミの堆積等ありました。2台あったので、いいとこどりで2コイチです。洗浄後に内部の調整をして、ツインの同調を整えていよいよ始動です。

完成!

というわけで、無事にエンジンにも火が入りようやく完成です。完成したらあたりは真っ暗でも即試乗したくなっちゃいますよね。なかなかに静かなエンジン、スムーズな回転の上昇、安定したアイドリングを確認してオーナーに納車。長距離テストがてら富士サンロクミーティングにも問題なく到着してましたのでホッとしました。その後も非常に快調とのことです。よかった〜。

Kさん、永らくお待たせしました、次は車検ですね。今度はどんな事件が待ち受けているのでしょうか?乞うご期待(?)ですねw!






オルタネーターについて




一時期流行ったオルタネーター換装

このクルマには流用モノのオルタネーターがついていました。このテの発電能力が高いと言われているICオルタネーターを取り付けてレギュレターを外してしまうという方法が一時期流行りましたね。しかし、ヘッドライトを点けたときなどにアイドリングが下がってしまう事例があとをたたず、その時期わんさか問い合わせがありました。ナリは小さいのですが、沢山発電させるために磁力が強いのか、はたまたプーリーが小さいせいなのか、発電時には大きな回転抵抗があるようで、ノーマルエンジンのアイドリングでは回しきれず、ひどいものだとヘッドライトを点けるとアイドリングで1000回転も落ちてしまうという事例もあったようです。

オルタネーターは電装品を使えば使う程、電流を発生させるために電磁石が強くなり、それを回すためのエンジンの力が必要になります。どうしても大容量の流用品を使いたいのであればプーリーを大きくすることによって使えるかもしれませんが、そうすると回転数が下がるので交換する意味がありますかね〜。また、オルタネーターにはエンジン回転方向に合わせた冷却フィンがついているので逆回転エンジンのものを使った場合にはうまくクーリングできない恐れもアリですね。

どちらにせよ、ノーマルのままで問題になるほど発電が足りない訳でもないし、よほど大きなウーハーをドライブするための大型アンプでも使わない限り、個人的には全く必要性を感じないチューニングだと思っています。(なかにはうまく使えてる例もあるようですが・・)通常のカーステを鳴らすくらいなら問題ないですし、ノーマル状態で「ヘッドライトが暗い」などの場合はリレーハーネスの方がよっぽど効果的で簡単だと思います。


なんとまあ、えらいことになってます<ステップバン>
おわり