10.2.3 こんなクルマがあったんだね〜・その1<空冷Z・AT>




カックイイ〜!



群馬県から積載車に載ってオートマの空冷Zがやってきました。オーナーはまだまだ若い!実家の倉庫の中に眠っていた、お父さんかおじさんがかつて乗っていた車両にひとめぼれしたらしいのですが、車検シールが平成5年になっているということは、約15年ぶりに動かそうということなんですね〜。「よ〜しおまかせくださ〜い」と、車検取得に向けて整備を開始しました。



AUTOMATIC

しかし珍しいね

「こんなクルマあったんだね〜」というのが率直な感想であります。ホンダサブロク専門とうたって工場を構えておりますが、恥ずかしながら空冷Zのオートマ仕様があるのは知りませんでした。(というか、自分はグレードとかバリエーションの知識がほとんどゼロ)同じZのATでも水冷なら以前工場でで代車とか外回りに使ってたんですけどね〜。

3速自動変速はエヌのオートマと同じ仕様ですが、エヌがコラムレバーなのに対してコイツはフロアにセレクターレバーがあります。空冷のオートマはDレンジの下に1.2.3速があって、マニュアルシフト風に運転することもできるんですが、まずそんな乗り方はしないでしょう。空冷Zはホーンボタンにグレードが書いてあるのも特徴のひとつですよね。室内も雰囲気があってカッコいいです。




エキゾーストパイプの穴塞ぎ

爆音でやんす

ウチの工場に入れる前にちょこちょこといじってあって、とりあえずはエンジンもかかるとのことでしたので、試しに始動してみたら「ぶちぶちぶち〜ん」とものすごい爆音です。破れていたのはエンジンから出てすぐ下の部分とセンターパイプとの継ぎ目の部分。オートマのエキパイはクランクケースの逃げのカーブがマニュアル車とは違います。破れたコイツの穴に鉄板を溶接で張り付けていくんですが、カーブの部分は形を整えながら少しづつ溶接していくという作業です。最後に耐熱のペイントを施して完成です。




ブレーキ周りはやっぱり手強い

できるだけバラバラに

ブレーキフルードは長年ほっとくと固まってラインを詰まらせてしまうので、シリンダーだけでなくホースやパイプの中などもできるだけ洗浄することにしました。マスターシリンダーのカップが空っぽになってたりすると特に怪しいですね。

各所にあやしいとこだらけ

ブレーキドラムを開けてみるとピストンは固着してるし、シリンダーのスライドはガチガチだしという状況。ブレーキパイプのフランジボルトはとうの昔にナメていたようです。ホースのネジ部分も簡単に首がもげてしまったので使えません。トホホ・・



ブリーダーを折らないで〜

ブリーダーニップル

オーナーからの申告、ブリーダーニップルが折れてしまったとのことでした。ここは固まりやすい上に中空ボルトなので簡単に折れてしまいます。また、バックプレートの後ろは作業もしにくいのでナメてしまうこともままあります。ちょっとでも『あぶない』と思ったらすごく面倒でもバックプレートから外して慎重に作業した方が無難です。もちろん部品も手に入らないし、折れた部分の除去も困難な場合が多いです。

ブレーキシリンダー再生

ゆっくり時間をかけてなんとか除去に成功しました。この作業はあんまり成功率が高くありませんので一安心です。ピストンもサビを落とし、変質していたカップも新品を入れてやりました。ブリーダーニップルは固着したり折れたりする前に怪しいと思ったときに交換しておくことをおすすめします。“後悔先に立たず”ですよ。




ブレーキパイプも造る


「出張してもらいました」

ブレーキパイプもフロントで2カ所程使えない状態でしたので製作することにしました。ブレーキパイプのフランジ加工はかなりシビアなので特殊な工具と材料の調達が必要です。今までは専門の外注にお願いしていたのですが、最近仲間が道具と材料と技術を入手したので以前より安価に製作することができるようになりました。オレも欲しいな〜、この道具(スンゲ〜高価!)

次回も造りモノその他を予定してます。どうなることやらです、お楽しみに!


こんなクルマがあったんだね〜!<空冷Z・AT>
その2につづく