10.10.9 幸せなサブロク娘・その1<ライフ4ドア>




すでに10年近いライフ歴



遠く茨城からちょくちょく通ってくるライフ乗りのKさんは女性オーナーなのだ。通勤で毎日かかさず乗っているというヘビーユーザーだが、10年弱前にウチから車を買った時にはピカピカだった塗装もすっかりガサガサ。それもそのはず、ワックスは一度もかけたことがないのです。ただカワイイというだけでライフに乗り始めたという典型的な短命タイプオーナーのはずなんだけどなぜかこんなに長く乗れちゃってるんだよね〜。そのコツはやっぱりおおらかさ、メカのことは全くわからないし、わかろうともしない、そもそも興味が無い。コイツの場合はそれが功を奏して今に至っているのですから。わかってたらこの状態で乗り続けられないよ。それでもクルマはこれ以外に考えられないんだって。そんなライフ君もいよいよエンジンの寿命がやってきたのです。



事のてんまつ

念願だった赤いシート
前回の車検のとき(ちょうど2年前)の時点でオイル消費は激烈だし、あからさまにバランサーがぶっ飛んだ時の振動も出てたのでオレもちょっとびっくりして「振動すごいだろ?、パワー出ないだろ?いよいよエンジン開けるときが来たな」と進言したものの「そうかな〜、普通に調子いいんだけどな〜」と全く気がついていない。この時の車検では貯め込んだお小遣いを突っ込んでシートを赤に張りかえることがなによりも楽しみだった様子なので、なんとなくこのまま乗らしといても面白いかもな〜、と思い(オイルランプが点灯している訳ではないので破壊しているのは前のギアだろうという予想で)お望み通りエンジンよりシート張り替えを優先したというわけでした。この日からコイツはどんなすさまじい壊れ方をするのかとワクワクしておりました。すっかりコーヒー野郎のサディスト心に火を放った感じですな。この状態で乗るにあたっていろいろと注意事項を伝えたところで今さら遅いし、コイツはメカの知識が全くないところが魅力なのでいろいろ言わずに「とにかくオイルだけは切らすなよ」とだけ伝えて再び公道に放ったのでした。いわゆる『このクルマが走ってた当時のそこいらの主婦のような乗り方をしたらどうなるのか?』興味がありますな〜、実験開始です。

そしていよいよ
で、今回の車検の2ヶ月ほど前に「走行中にバァ〜ンって爆発音がして怖くて乗ってらんないんですよ〜」と泣きを入れてきた。通常スロットルを動かしたときに不意に不正爆発することはあっても、コイツの場合は定速巡航中に何の前触れもなくバァ〜ンと爆発するとのこと。じゃあ、車検で預かる時までそのまま好きなだけ爆発させといて、入庫したときにあらかじめ作っといたエンジンとスパッと乗せ換えようということになりました。どうぜぶっ壊れてるんだしね。




代替エンジンを組む

エンジンを用意しておこう

工場奥からベースとなるエンジンを引っ張り出してきてどんどん分解します。全て分解して全部一から組み立て直すのはもちろんなんですが、とにかくピストンがスタンダードサイズでシリンダー、バランサーシャフト受けのメタル部分、バルブまわりが生きていることが絶対条件です。バラしながら気がついたんだけど、これはバシケン(昔のレース仲間)が組んだエンジンだ!

中古良品をふんだんに

パーツチェックと洗いが終わったらどんどん組んでいきますが、予算の関係でなるべく中古パーツの良品を使うことにしました。バランサードリブンギアは現在製作中なので今回は中古品。オイルシール、バランサーチェーン等は新品を使用しました。ピストンリングも新品は入手できないので中古品の中から良いものを選び出しました。



いくらケチケチ作業とはいえ・・・

しっかりやるところはやるわよ

クラッチもほとんど減っていない中古がありましたのでラッキーでしたね。いくら予算が無いとは言えフライホイールのサビもきちんと落として、EAエンジンの肝であるウォーターポンプは分解リビルド、ヘッドのシーリングボルトも外して内側の状態を目視しました。放置してあるエンジンは特に水回りをよ〜く点検しておかなくては不安ですね。



シリンダーヘッド

バルブまわりは特に注意

シリンダーヘッドの肝はバルブまわり。バルブそのものの状態ももちろんですが、バルブシートとの当たり面の状態が重要です。均一にきれいに当たっていない場合や当たり幅が広すぎる場合はバルブガイドのガタが原因かもしれません。ガイドのガタが大きいとオイルが燃焼室に降りてくる、いわゆるオイル下がりによりオイル消費が多くなったり、ガイドとバルブシャフトの隙き間が広いと接触面積が狭くなる為にバルブの熱がガイドに逃げてくれないなどの弊害もあります。

ライフエンジンのロッカーアームシャフトは決めた位置からずれないようにポンチが打ってあり、その部分を削り取らないとシャフトが抜けづらいので、分解時にも理由が無い限り抜かないんですが、この作業時には抜いたようですね〜。何が理由で抜いたのかがどんなに考えても思い出せず、自分の老化度合いにがっかりしております。抜いた場合は右写真のように切り込みを水平に合わせます。また、ヘッドボルト差し込み位置の切り欠きをバッチリあわせておかないとボルトを差し込めなくなってしまいますので注意が必要です。




準備できたぞ、いつでも来やがれ!


「中古パーツを使ったワリには、いい感触で組みあがったんだよね」


エンジンを積み換える打ち合わせをした日の帰り道中の出来事。

K「高速の出口で突然エンジンが止まったっきり全然かかりませ〜ん」
と電話が入る。
オレ「いままでもそんなことがあったんだろ、そんなときどうしてた?」
「しばらくほっとくと直ってました」
「それなら15分くらい時間おいてチャレンジしてみたら?」
「は〜い、そうしま〜す」
・・・・15分後・・・・
「エンジンかかりました、じゃあ帰りま〜す」
「はいはい〜、よかったね〜ごくろうさま〜」

調子が悪いなりにもコツで乗れてるコイツは幸せだな〜
カワイイからと言う理由でクルマを選ぶ、それでもいいんです
次回は降ろしたエンジンをバラしてみます。楽しみ〜!

幸せなサブロク娘・その1<ライフ4ドア>
その2につづく・・