12.4.21 エンジンの重さが身にしみる・その1<LN360・タイプ3>




LN3登場! from 静岡


静岡からエンジンブロー(と思われる)LNが入ってきました。イベントの日に高速道路を走っていたところ、煙をドバっと吐いて片肺になっちゃったとのことです。積載車から降ろしてエンジン始動を試みるとすんなりかかるんですが、おっしゃる通り片肺症状ですね〜。スペアエンジンも一緒にお預かりしたので再生作業を始めるとしましょう。それにしてもさすがLN商用車、パレットに載せられたNのエンジンがそのまま荷台に収まってたよ。働きもんだよね〜、LN。



まずは外から様子を見てみよう

圧縮を測ってみる

お話を聞く限りではエンジンがダメになっていることは間違いなさそうですが、まずは状態を調べる為に圧縮を測ってみます。左シリンダーは10kg/cm3くらいあるのに対して右はゼロです、「えっ、ゼロ!?」ピストンリング折れのひどいものでも2〜3くらいはあってもおかしくないんだけどな〜、と思いながら何度測るもゼロ。なんだこりゃ、やっぱり分解だね。

汚れがひどいね〜

ヘッドカバーを開けてカムケース内のロッカーアームやカムシャフトを取り外していきます。からっぽになったカムケースを降ろし、次にシリンダーヘッドを外すとピストンヘッドを目視できます。このクルマのカムケース内はかなり汚れていて、オイルだまりの部分にはタール状になったオイルが堆積していました。




圧縮ゼロの原因は・・

穴がポッカリと

右側のピストンは溶けて穴が空いていました。表面には溶け出したアルミの飛沫がびっしりこびりついています。これでは圧縮が出ないのも当然ですね。開けてみないとわかんないもんです、ようやく納得できました。生きている方のピストンのカーボンを見る限り、混合器が薄すぎて高温になった結果のメルトダウンではないようです。さて原因は・・・

2サイクルエンジンでもないのにピストンに穴があいちゃうというのはちょっと考えにくいですよね。内燃機屋さんにもいろいろと話しを聞いたんですが、金属片、たとえばプラグ先端の破片とかが入ったりするとそれが火種となってこのようになることがあるとのことです。逆にそのくらいしか考えられないとのこと。このクルマの場合はプラグ自体は非常に良い状態でしたので、過去にプラグが溶けたことがあったとか、何らかの原因で燃焼室に異物が混入したとか・・・みなさんも他に考えられる要素があればぜひともご意見をお聞かせください。




シリンダーヘッドのダメージは・・・

燃焼室にもアルミ飛沫が・・

もちろん燃焼室にもアルミの飛沫がこびりついていますが、壁面へのダメージはほとんどありません。バルブフェイスとバルブシートの間に飛沫が挟み込まれて、面はだいぶ荒れていますが、バルブガイドの状態が極めて良好なのでスペアエンジンではなくこのヘッドを修正して再使用することにしました。

プラグ穴の修正

プラグ穴がでろんでろんなのはN360Eエンジンのお約束です。もちろんこのクルマも例外ではありませんでした。加工に出す前にリコイル処理を施して、バッチリ洗浄しておきます。




排気量アップ

これを機会に67φ

オーナーが用意した67mmのピストンとシリンダーを使って約40ccのアップを図ります。(ノーマルは63mm)このサイズのピストンに合わせてシリンダースリーブをボーリングすると非常に肉が薄くなりますので取り扱いには注意が必要です。洗浄中に手が滑って落っことしでもしたら大変ですよ。ピストンも中古でしたが状態は良いようです。でもなぜかセカンドリングが欠損していました。これは中古良品を使って対処しました。




これからしばらくは『洗い屋さんだ』!


「ヘッドの洗浄完了」


LN360の巻、こんな感じでスタートです。この先起こるさまざまな困難と苦悩、スリルとサスペンス、そしてラブ&コメディ。まさにエンジンの重さが身に応えるぜ!。これも試練とがんばるしかないぞオレ!

エンジンの重さが身にしみる・その1<LN360・タイプ3>
その2につづく・・