12.5.5 エンジンの重さが身にしみる・その2<LN360・タイプ3>




ベースエンジンいよいよ分解


前回はエンジンをバラして原因を究明したところまででしたね。オーナーの希望によりエンジン全部まるごとオーバーホールすることが決定しています。シリンダーヘッドは修正で、シリンダー&ピストンは別途用意してもらった67φで組むことにしました。で、クランクケース、俗に言う腰下も動いていた実績のある元々のモノを使おうと思ったんですが、LNの貨物ミッションからセダンのミッションに交換したいとのことで、腰下はスペアエンジンを使用することにしました。早速分解してみると・・・



コイツはひで〜な〜

クランクが回らない

クランクプーリーボルトにレンチをかけて上死点を出そうとするもクランクが回らない。仕方ないのでそのままヘッドカバーを開けてみると中はカラカラに乾いていました。元のエンジンも汚れがヒドかったけど、オイリーなだけまだましだったかも。ヘッドを降ろしてみたらシリンダー内はこのありさま。水が入ったらしくリングや内壁がさびてしまい、ピストンが固着してクランクが回りません。

クランクケース分解準備

固着していたピストンは油漬けにした後、プーラーを使用して抜き取りました。ピストンも壊さずに抜けましたが、もちろんそのまんま使える状態ではありませんでしたよ。シリンダーまで分解したのでひっくり返した状態でエンジンスタンドにセットします。プライマリードライブギヤにダンパーが組み込まれている最終型エンジンは左サイドカバーが出っ張っています(矢印部分)




クランクケース内部の様子

オイルフィルター取り付け部分

N360Eエンジンのオイルフィルターは金属筒の一体型カーリッジ式ではなく単車で見られるようなフィルターむきだしの組み立て式なので取り付け部は写真のような形状をしています(写真はエンジンがが逆さまの状態)ゴミを減らすという思想からか、現代車ではこのNの方式になっているものが増えてきているようです。時代を先取っていたんですね。

プライマリー機構のバリエーション

左サイドカバー内にはエンジンの動力をデファレンシャルに伝えるプライマリーギアが組み込まれています。最終型のこのエンジンではドライブギヤがダンパーを抱えています。先述の写真のケースの出っ張りはこのダンパーをかわす為に設けられたわけです。ダンパーなしタイプとはクランク形状も違いますので組み合わせには注意が必要です。ドリブンギヤもオイルポンプのタイプによって形状の違いがあるんですが、それについてはまたあとで。




当然サビはでているものの・・・

内部パーツの確認

クランクロアケースをめくるといよいよクランクやミッションが見えてきます。水が入っていたエンジンなので当然サビは出ています。クランクはダンパーとの組み合わせの都合、ミッションはセダン用を使いたいという都合でこれらをできる限り状態を整えて使用することにします。このミッションはシンクロ入りです。Nの中でもプライマリーダンパー付き&シンクロ入りミッションの組み合わせが最も静粛です。




ケースの中は汚いな〜

クランクキャップ

クランクキャップをケースに締結しているボルトは2本は良好、残りの2本はサビと乾いたオイルがこびりついています。カムチェーンテンショナーはクランクケースを開けないと摘出できないので、リペアキットでローラーの交換作業する場合はこういう時がチャンスですね。

ロアケースの中

予想通りといえば予想通りなんですが、やはり汚い。ミッションの下はヘドロだらけ、デファレンシャルの部屋は乾いたサビが見えます。洗うのが大変そうですね。




この先まだまだ続きます


「迫力あるな〜・・」


スペアエンジンの状態も把握できたので、どこの部分にどちらのパーツを使うかのプランもだいたい立ちました。次からは洗浄しながらさらに細かくパーツの状態を点検して、必要に応じて修正や不具合の対策などだんだんと組み立てに向かって進めていきます。とはいえ先は長いよ〜

エンジンの重さが身にしみる・その2<LN360・タイプ3>
その3につづく・・