12.7.19 エンジンの重さが身にしみる・その4<LN360・タイプ3>




いよいよ積むんだけど・・・


ようやくシリンダーまで組み上がったので車体に積み込む準備です。メンテナンススタンドから積み込み用台車へ乗せ換えて、チェーンブロックで吊り上げて車体とドッキングします。



目の前まっくら、頭の中まっしろに

謎のオイル漏れ

エンジンを車体に積み込んだあと、トイレに行って戻ってきたら床にオイル染みがあるんですよ。まだオイルを入れてないのにだよ。おっかしいな〜と思って下に潜ってよくよくチェックしてみたらドレンボルト付近にケースのひび割れを発見!漏れていたのは組む時に注したオイルだったんですね。がっかりなんてもんじゃないっすよ。洗ってる時に気がつかなかった自分が悪いんですけどね。

再度エンジン降ろし

自営業の場合、落胆してても誰もフォローしてくれないんで、再度エンジンを降ろして、クランクロアケースを元のエンジンのものと交換するためセルダイ周辺、クラッチ周辺、左右のサイドカバーを分解します。ベースになっているこのエンジン、どうやら落下させた形跡があります。あまりにも長〜いヒビなのでフィンの成型跡かと思ったよ、まったく・・・



これまためんどくさいね

年式によるパーツの違い

ブローした元のエンジンからロアケースをひっぺがして、またまた洗い屋に逆戻りです。ブローしたエンジンとベースにしたエンジンでは年式の違いにより構成パーツに違いがあります。ロアケースを交換することによってオイルポンプは後期のトロコイド式から前期のプランジャー式に交換を余儀なくされます。(右の写真がオイルポンプの違いです)

余談ですが、プライマリードライブギアもダンパーありとなしの2種類があり、それに伴いサイドカバーの形状が若干違うためにクラッチのカバーもネジ穴が合わなくなります。詳しくは現物合わせでよく確認して下さいね。




カムシャフトの組み方

カムチェーンをかけ違わないように

エヌのエンジンはカムチェーンをかけ間違えている車両がとっても多いんですよ、コワイですね〜。カムシャフトには左写真のごとくスプロケットの側面に線が入ってますから、上死点でその線をシリンダーヘッド上面と水平位置になるように組むのが正解です。正しく組めるとカムシャフト切り欠きと左ホルダーが右の写真のようになります。テンショナーのプッシュロッドを締め込んだ状態で手でクランキングしながら納得のいくまで確認します。

カムシャフトの線は角度違いで2本入っているものがあります。おそらくメーカーが製造時に間違えたんだと思うんですが、その場合は後から入れたように見える方が正解だと思います。あくまで“思います”ですので、よくよく検証してから組むことをお勧めします。




オイルフィルターの構成部品

オイルフィルターを組み立てる

エヌのオイルフィルターは組み立て式です。いくつかのパーツで構成されていますが、左写真の矢印のワッシャーが無くなっていることが非常に多いです。ゴムパッキンにくっついて一緒に捨てられちゃうんでしょうね。これがないとスプリングがゴムパッキンに食い込んじゃうので、できれば入れときたいですね。しかし、そのまま使えそうなサイズのワッシャーもまず売ってないので、今回も古いフィルターをバラしてはさみで切って作っちゃいます。
聞くところによると現代車のオイルフィルターもエコ活動の関係で組み立て式らしいですね。




ミッションコンプリートっす、


「完成までいろいろあったな〜・・」


というわけで完成したんですけど、実はクランクケースを組み替えあとも事件がありまして、エンジンをかけたらカタカタカタ〜と打音が出ちゃって・・今度はピストンがヘッドに干渉しちゃってて、またもやバラして燃焼室の削り込みなんかをやったりしたわけなんです。400ピストンを入れると当たっちゃうのは初期の一部のモデルだけだと思ってたんだけど、このエンジンは年式いろいろ組み合わせて作ってあったのかな?とにかく今回の作業はやってもやってもトラップだらけでいささかくたびれました。でも、結果的に静かにパワフルに組み上がったんで満足ですよ。今回のレポートこれにて完結です。またお会いしましょう!

エンジンの重さが身にしみる・その4<LN360・タイプ3>
おわり