12.9.30 初期型をバラしちゃおう・その1<N360・タイプ1>




いわいる“エヌワン”がやってきた


栃木県よりお越しのNKさんのエヌワンはボディも内装も極上コンディション。手を入れてあるとはいえ、よくこんないい状態のエヌワンボディがあったもんだというくらいの代物なのであります。しかし、機関の方はというと60キロを越えると白煙モウモウという状況。どうせ直すならエンジン全体、そのほか気になるところをやれるだけやってしまいたいとのことで、このたび作業のご依頼をいただいたのであります。遠いところありがとうございます。もちろんやります、ついでに車検もやっちゃいますですよ〜。初期型とはいえ、伝説の左プーリーではないですよ。(あれはなかなか手を付けにくいですよね)



ゴロゴロ鳴いてるドライブシャフト

クロスジョイントはダメだね〜

まずは回るたびにガッコンガッコンと不快な音を発するドライブシャフトを対策します。N1やLNに使われているクロスジョイントのタイプはブーツがなく、スパイダーがむき出しなのでダメージを喰ってガタガタになっている車両がすくなくありません。今回は新タイプの等速ジョイントと換装することにしました。交換する時は矢印部分のスプライン形状を確認しないとブレーキドラムがつかなくなっちゃいます(ドラムごと交換してしまえば問題ナシ)また、スプラインの長さも違います。今回この部分ははワッシャー等でつじつまを合わせて元の合わせホイールを取り付けました。

フランジジョイントの処理

ドライブシャフトをデファレンシャルのフランジとジョイントするこのパーツは写真のように裏フタが外れちゃってることがよくありますね。外れないまでもガタガタになって隙き間からグリスが漏れ出していたり・・・
それにしてもよくない造りだな〜



フランジジョイントのフタを固定する

なんでこんなつくりになってるのか・・

フタが外れてしまうと本体の溝になかなかはまらないんですが、そんなときは左写真のようにフタをハンマーでドーム状に成型し、本体に乗せてから中央を叩いて外に広げて溝にはめ込みます。そのときに(右写真のように)溝にシーラーなどを塗っておけばグリスの漏れ防止にもなりますね。N600やオートマではフランジ形状の違いによりこのフタがないモデルもあります。




そしていよいよエンジン分解

分解する前にみてみましょうね〜

どっちみちバラバラにするんだから別にいいんだけど、おあずけプレイを楽しむかのごとく、いろいろチェックしてみましょう。

プラグを見てみましょう。両方ともかぶり気味です。堆積しているのはオイルの燃えかすでしょうね。吐いていた白煙は何らかの原因で燃焼室に入り込んだオイルで間違いなさそうです。
シリンダー圧縮は左が10に対し、右が5(kg/cm3)しかありません。原因はピストン周りかバルブ周りか、これは開けてみないとわかりませんな。



なんで圧縮がないの?なんで白煙が出るの?

きれいなピストンはあやしい

ピストンがずいぶんときれいですね〜。普通に使っていてきれいに燃えていた場合は全体にすすがかかったつや消しの黒になるもんですが、このクルマの場合はオイリーでやたらきれい。何らかの原因でうまく燃焼できていなかったものと思われます。そして矢印位置に50のスタンプ。0.5mmオーバーサーズピストンが入っていました。

バルブが閉じてないんだね〜

シリンダーヘッドを逆さまにして燃焼室に灯油を張ってみます。バルブの当たり面が美しく出ている場合は一晩経っても漏れませんが、このヘッドは注いだとたんにこんな感じですので、圧縮が低かったのはここが原因ですね。仮に漏れなかったとしても、バルブガイドとバルブフェイスは最低でも切削修正をかけることにしています。




どうだ、オレのスペシャルツール!


「クラッチレリーズレバー固定道具」


クラッチケーブルを外すとクラッチレバーがぷらぷらしちゃってすげ〜じゃまですよね。なので紐などで縛っておくんだけど、両側とも切れ目があるもんだからガチャガチャやってるとそのうちポロっととれちゃってイライラします。そこでこのスペシャルなレバー固定スプリング。さすがネオライフ。とことんお金と手間がかかってないでしょう〜。

次回から本格的にエンジンバラし開始です。

エンジンの重さが身にしみる・その1<N360・タイプ1>
その2につづく・・