12.11.30 初期型をバラしちゃおう・その3<N360・タイプ1>




リアクォーターのスリットもエヌワンの特徴


今回はエンジンを分解していきます。エヌワンの場合は外観だけでなくエンジンパーツも一部独特ですので、N2以降のエンジンと比べてみると興味深いですよ。そういったところもエンジン修理屋の楽しみ(または苦悩)だったりします。



ダイナモ周辺

セルダイナモの様子

ダイナモステーターはご覧のように漏れ出したエンジンオイルが溜まっていることが多いです。この程度でしたら大事には至らないと思いますが、ここにもっと大量のオイルが漏れてくるとローターで掻き揚げてブラシの当たり面に回ってしまうこともあります。それは致命的ですよね。

ピンが抜けない

ダイナモローターの位置決めの為のピン(2番矢印)がなぜか抜けません。サビで固着しているのか、中で曲がっているのか・・たかだかピンなんですが、大事なクランクなんで技術屋さん行き決定です。これが抜けないことにはクランクベアリングホルダーが外れないんですよ。

ダイナモステーターに溜まっていたオイルはクランクのオイルシールからよりも、1番矢印のパッキンがへたって漏れてくることの方が多いような気がします。




クラッチ、プライマリー

クラッチ、プライマリー

(左)エンジン側のクラッチプレートの固定ボルトにはロックプレートがついています。これはエヌワン以降は割愛されていますね。

(右)プライマリードリブンギアのユニットは一体型です。N2以降は組み立て式になっていて、円柱のゴムのダンパーが10個入っているタイプに変更になっています。2本のプライマリーチェーンを半コマずらす組み方はどちらもおんなじです。



クランクケースは互換性なし

エンジン固定方法の違い

左の写真はひっくり返したクランクケースです。N2とはサブフレームへの固定方法が違うのでロアクランクケースも見慣れない形状をしています。オイルフィルターは全く同じですので互換性アリです。

ロアケースを開けてみると中身はほぼN2とおんなじ4速ドグミッションです。内部は汚れていはいるもののドロドロではないのでひと安心。




エンジンルームの塗装

結局、大がかりな作業に

このクルマはボディはほぼ仕上がっている極上の状態。ただ、エンジンルームだけは手つかずだったので「エンジンを降ろした時にかる〜く塗って欲しい」とご希望がありました。でもやっぱり、その“かる〜く”の程度が難しくて、結局ハーネスを全部外して泥を洗い流しマスキングを施さざるを得なくなってしまいました。塗装屋さんに通いで来てもらって調色した塗料をペイントしてもらいました。




組み立て準備着々、


「このベアリングの交換はたいへん」


エンジンを分解しながら同時に修正や加工を施すパーツの準備をします。シリンダーヘッド、ピストンと一緒にミッションカウンターシャフトのベアリング交換も外注にお願いします。ベアリングの手前にいるリバーススプロケットはハンドツールや簡易プレスなんかじゃまず外れません。ヘタにやるとスプロケットが歪んじゃう程固いので専用治具を作って加工屋さんで交換してもらってます。このベアリングはだいたいガタガタになってるんだよね〜。

エンジンの重さが身にしみる・その3<N360・タイプ1>
その4につづく・・