13.10.12 気絶する(したい)ほど悩ましい・その1<空冷Z GS>




空冷Zで、しかもGSは珍しいね!


ホンダZのGSが入ってきました。空冷N360やZのシリーズ中、最もスポーティーなモデルです。ツインキャブなのはもちろん、フロントブレーキはホンダサブロクの中でも唯一の倍力アシスト付きのディスク仕様です。スタビライザーもついてるし、乗るのが楽しみですね〜。その前に直さなきゃなんないんですけど・・・

今回のメニューはエンジンオーバーホールです。とりあえずは動いておりますが、セルダイナモがダメみたいで“CHGランプ”が点きっぱなしという状態になっちゃったので、これをきっかけにエンジンをばっちりやっちゃいたいとのことなんですね〜。




順番に外していきましょう

ボンネットは外しちゃう!

このクルマはすでにボディは修復済みなのでピッカピカです。できればエンジンを先にやらせて欲しかったな〜(笑)なんて言っても始まらないのでさっさと分解することにしましょう。Zはボンネットの開口が狭くて作業のじゃまなので最初に外しちゃいました。

着々と分解準備

一番最初にやることはバッテリーを外すことですね、これ重要です。エンジンはサブフレームごと下に降ろすので、なるべく高い位置でウマ(リジットラック)を架けます。シリンダーの分解作業までは車載状態で行うので、ある程度高さがあった方が腰にもやさしいです。分解しながらオイルも抜いておきます。




エンジン内部とご対面

圧縮上死点

いよいよヘッドカバーを開けてエンジン内部とご対面です。分解するときのピストンの位置は圧縮上死点にしておくのが基本です。空冷車の場合はカムシャフト中央のスプロケットに刻まれた線をヘッドと水平に合わせた位置が圧縮上死点ですが、この写真のように2本線が入っているカムも多数あります。その場合はあとから削ったと思われる線が正しい位置のようですが、油断は大敵、要確認です。

分解しながら様子を探る

少なくとも過去に一度は分解されているエンジンのようです。内部の汚れは少ないものの、パーツの状態は決して良くはありません。オイル上がりがあった為か、キャブレターが悪かったのか、右側(向かって左側)のピストンがやたらキレイです。何らかの原因でうまく燃えてなかったんでしょうね。




シリンダーを外して車体と分離

ピストン、シリンダーを外す

シリンダーを引っこ抜く時は、折れたピストンリングなどがケース内に落ちないように矢印部分の開口部にはウエスなどを詰め込んで養生しておきましょう。今回の場合は全部バラしちゃうんで入っちゃっても問題ありませんが・・・。ピストンはオーバーサイズが組み込まれていました。ちょっとやりにくいな。

エンジンを車体から分離する

次はエキゾーストパイプ、ドライブシャフト、ロアアーム、サブフレーム、フロントメンバーを外してエンジンを下に落とします。シリンダーまで外しても結構重たいので、さすがに人力じゃムリ。ネオライフでは2階荷揚げ用の電動ウインチを利用して吊り上げています。




検証と分解

コネクティングロッドのガタ

降ろしたエンジンをスタンドに備えて各部の検証です。コンロッドを手で降ってみると、いやな感じで左右のガタ(矢印方向)があります。これだけガタガタだとそこそこ打音も出てただろうし、できれば使いたくないな〜。これしかなければ使うしかないけど、困ったな〜・・・。このエンジンスタンドは通路においてあるので一日中そこを通るたびにカタカタ振りつつ、1週間程悩み続けました。

とりあえずバラそう

どうしようかと決めあぐねていても仕方がないので、とりあえずバラすことにしました。まずはクランクケースをひっくり返して、オイルフィルターの惨状を目の当たりにします。フィルター自体もバラバラになってるし、ゴミも結構出てる(矢印の部分がゴミ溜まりスペース)クランクケースの中は汚そうだな〜。




中はやっぱりキタナイ!


「元々放置車だったのかな?」


クランクを再利用するべきか否か。オーナーに悩める心中を吐露いたしまして、ご自宅に所有の部品取り車からエンジンを降ろしてもらって持ち込んでもらうことになりました。スペアがあってよかった〜。あ、まだ使えるかどうかわかんないけど・・・

とりあえずこっちのエンジンのクランクケースを割ってみたら、やっぱりずいぶんと汚れてます。この写真だとデフ周辺がわかりやすいですが、オイルが乾いてこびりついております。動き続けていた車両なら、多少オイル管理が悪くてもねっとりするだけでこうはなりにくいので、おそらく過去に眠ってた期間があったんでしょうね〜。走行距離が短かったとしてもそういう車の方がやっかいなんですよね〜、がんばりま〜す。

気絶する(したい)ほど悩ましい・その1<空冷Z GS>
その2につづく