14.6.9 折れボルトから始まったあれこれ・その1<LN360/タイプ1>




貴重なLN初期型


TさんのLN1が発電しなくなってしまいました。セルダイナモは空冷エンジンの最大のキモ、イヤな予感が頭をよぎります。とりあえず分解して確認してみましょう〜



原因は漏れだしたオイル

コイツはヒドい

ダイナモを分解してみるとローターにオイルが回っちゃっててブラシからなにから全てオイルまみれです。ポイントが入っているブレーカーケースから漏れてダイナモ内部に入り込むことが原因の場合もありますが、これだけの量ですから原因は内側からですね。ご覧の通りステーターの下部にもタプタプに溜まってます。

原因はクランクのベアリングホルダー付近

ステーター、ローターを外してみると折れたボルトが落ちてきました。アウターリングを留めている6mmボルトです。残りの3本もゆるゆる。この部分は緩んでいることが非常に多いです。当時モノのパッキンが硬化して厚みが薄くなっちゃうのが原因だと思います。これじゃあどんどん漏れちゃうね。



エンジンごと載せかえ

各部のチェック

オーナーと話し合った結果、持ち込んでもらったエンジンと積み換えることになりました。それもリスクが高いんだけどな〜。見るからに相当長期間放置モノ、ドライブシャフトも溶断してあるので解体屋経由のエンジンかな?とりあえず可能な限りチェックしてみましょう。

なんだかあやしいな〜

ヘッドカバーを開けてみると、オイルがカラカラに乾いちゃっててロッカーアームの動きも悪いしカムチェーンはかけ間違ってるし。カムケース内のパーツ、ロッカーアームとカムシャフトはバラして洗って組み直しですね。



いろいろヤだな〜

見れば見るほどあやしいエンジンだな〜

左写真で見る通り、カムチェーンは内壁に当たっていたようなので交換しといた方が無難ですね。
右写真ではロッカーアームのスリッパー部分がスジ状に遍摩耗してるのが確認できます。なんだかいや〜な感じですね〜。これは旧エンジンから摘出した良品(右側)と交換しときましょう。




前には進むが・・・

エンジンの積み替えが終わって無事に始動しました。「お〜、これならいけるかも」なんて思いながら試乗に行くためバックで外へ出そうと思ったらエンジン回転だけ上がって車体がぜんぜん動かない。前には進むのに〜!

リバースギヤの確認

リバースギヤは車載の状態でもクランクケース右カバーを外せばアクセスできます。オイルレベルゲージが刺さるところということはオイルが溜まっているところということなのであらかじめ抜いておきます。それにしてもオイルスラッジがスゴイ!クランクケースの中も全体にこんな感じなんだろうな〜



リバースギヤの摩耗でした

良品と比べてみる

奥の良品と比べてみると一目瞭然ですね。要するにギヤのショルダーが摩耗しちゃって隣のギヤに動力が伝わっていなかったということです。これはヒドいですね。

洗って組み付け

ダメになったギヤは元のエンジンから摘出してパーツを洗って組み付けました。スピードメーターギヤもネトネトのオイルで動きが渋かったので分解洗浄しました。




公道復帰(とりあえずはね)


「まだまだ続くよ」

N360ってリバース(バック)ギヤに入れにくいですよね。ギヤの噛み込みが浅い状態で使う癖がついちゃうとこんなことになりがちなので、バックする時はシフトレバーをきちんと倒し込むよう意識することが大切です。また、車体が前に動いた状態でバックギヤに入れるのもよくありません。Nもライフもマニュアルもオートマも、クルマがきちんと静止してからリバースギヤに入れるように心がけましょう〜

そして次のトラブルは忘れた頃にやってくるのでありました。

折れボルトから始まったあれこれ<LN360/タイプ1>
その2につづく