15.5.21 かろうじて生きているエンジンンを開けてみた<ライフバン>




ガソリンよりオイルの方が高価だからね〜


今回の作業は白煙モクモク、大量にエンジンオイルを消費してしまうライフバン。かろうじて生きていると言ってもいい状態のエンジンです。ホンダのサブロクは過去に誰かがエンジンをバラしているクルマが多く、あやしい仕上がりのエンジンも少なくないんですけど、今回のエンジンはツッコミどころ満載で非常にかわいそうな状態で組まれていました。



まずは上から分解してみましょう

今回はエンジンを降ろさず

今回はエンジンを降ろさずにオイルパンを開けて下からピストンを押し出す方法で作業しました。もう40年近く経った古いエンジンなので多少のオイル消費や白煙は仕方がないのですが、このエンジンのオイルの減り方はさすがのオレでも「このくらい大丈夫ですよ」とはとてもいえないレベル。リングが悪いのかバルブ周りが悪いのか・・・

ヘッドボルト穴があやしい

ヘッドボルトを外すとき、締める時はボルトが入っていく(抜けてくる)感触を確かめながらなんですが、左上の穴があやしいです。リコイル修正そのものが失敗している事例も多くありますね。ヘッドボルトのトルク管理は「正確に何キロで締める」ことも大事ですが、各ボルトがバランスよく同じトルクで締め付けられているということの方がより大切です。



オイル消費の原因は一目瞭然

ピストンは0.25mmオーバーサイズ

<左写真>
このエンジンはすでに複数回分解されているようで0.25mmオーバーサイズのピストンが組み込まれていましたので、新品リングをオーナーに探してきてもらいご用意頂きました。旧いリングと新しいリングをシリンダーに組み込んでリングの合い口隙き間を測定した結果がシリンダー上部に書いてある数字です。メーカーのマニュアルでは0.6mm以上で交換ですが、0.8近くありますね。こんなに広いとリングの張力が得られないので当然オイルが燃焼室に上がってきてどんどん燃えて白煙になってしまいます。また、オーバーヒートの危険もはらんできます。

<右写真>
ピストンに25とスタンプされているのが0.25オーバーサイズという意味です。補修用オーバーサイズは0.5/1mmまで設定されていました。

パーツが入手できないのでピストンは当然そのまま使わざるを得ないですね。しかし、ピストンのリングがはまる溝も当然摩耗しています。(写真のここのすきまと書いてある溝)特にトップリングは摩耗が大きいです。上記でリング隙き間の交換限度値が0.6mmと書きましたが、それは新品ピストンを使った時の規定値なので0.6の隙き間があった時点で、「これじゃあオイルが上がって使えないかもな」ということは懸念できるわけなのです。また、リング隙き間の数値だけでなく、たとえ使用限度値以下でもリングの摩耗形状も非常に重要なので、ピストンリングの合い口隙き間だけでなく、ピストンのリング溝の状態、シリンダーそのものの状態などを細かく観察しながら適切に修正や加工を加えたりパーツの交換をすることが必要になってくるわけなのです。今回の場合は合い口が0.8も空いちゃってたので当然の結果ですけどね。部品の入手が難しいから中古使用もやむなしと言ってしまえばそれまでなんですけど、少なくとも自分はこの状態ではおそろしすぎて組めませんw



なんだかあやしいな〜

もうやんなちゃうな〜

左の写真では運転席側ピストンに1の打刻がありますが、右の写真では反対の助手席側のバルブに1って書いてあります。どっちがホントなんだよw。おそらくピストンを入れ間違えてると思うんですが(エンジン屋の世界ではタイミングベルト側を1番と呼ぶことが慣例のようなので)いつから入れ替わったんだかわからないし、計測してみた結果どちらもほとんど同じ値だったのでピストンはそのまま元のシリンダーに収めました。自分は2気筒専門メカニックなので自分で印をつけるときははLRと表記します。



ホンダじゃなければコンロッド焼きついてるかも〜w

コレ非常に危ないです

ピストンとクランクをつないでいるコネクティングロッド、通称コンロッドはラインボーリングで製造されているためキャップと本体が必ずセットになっていなければなりません。そのため、合わせ面に割刻印を打ってセット管理されています。このクルマの場合Rですが、丸印だったりFだったり違うアルファベットの場合もあります。この印をキチンをあわせて組み合わせが絶対に入れ替わらないようにしなくてはいけません。ホンダはこの時代でもパーツの工作精度が良いので今回は助かってますが、まかり間違うと回転抵抗になって焼きついちゃったりメタルの遍摩耗を起こして寿命の短いエンジンになってしまうこともあるかもしれません。おそろしすぎにもほどがありますね〜




最後の仕上げ

メタル、その他のパーツ

EAエンジンのキモであるバランサーギヤは生きていましたのでひと安心。コンロッドやクランクのメタルベアリングも入手が不可能になってしまいましたが、状態がまずまずだったので修正して再利用しました。
あと、タイミングベルトのカバーが外されて、
アルミのひさしみたいのがついていましたが、普段使いの街乗りで使用するオーナーの場合、ベルトカバーは必須と言っていいと思います。プーリーとかテンショナーベアリングは水をかぶると一発でさびますからね〜

エンジンを作業した時には

点火やキャブレターまわりもトータルで調子が出るところまでやらせてもらいます。キャブレターはガソリン油面、同調がデララメになっていました。今まではアイドリングが不安定だったり、不意に停まっちゃうこともあったとのことですのでこのあたりが原因だったと思われます。




これにて終了〜


「お気に入りの山の中試乗コース」

ひと通り作業が終了したので試乗がてら近所のお使いや外回りでどんどん乗ってみます。長距離を乗るよりストップ&ゴーの方が重要ですね。非常にスムーズに走るようになりました。仕上げは登りが多い山の中へ。登りで負荷をかけてもルームミラーで見る限り白煙も解消されたようです。よかったよかった。
ならし運転というとトロトロとエンジンを回すというイメージを持たれる方が多いようですが、ホンダのサブロクの場合は高回転型なので、急加速や急なエンジンブレーキはもってのほかですけど、ある程度5〜5500回転くらいまで回してやった方が効果的だと思います。普段の暖機もそうですけど、アイドルで長時間放置させておくのはバルブやバルブシートにも良くないのですよ。

暖機は走りながらでも十分なんです。

かろうじて生きているエンジンを開けてみた<ライフバン>
おわり