ピストンは0.25mmオーバーサイズ
<左写真>
このエンジンはすでに複数回分解されているようで0.25mmオーバーサイズのピストンが組み込まれていましたので、新品リングをオーナーに探してきてもらいご用意頂きました。旧いリングと新しいリングをシリンダーに組み込んでリングの合い口隙き間を測定した結果がシリンダー上部に書いてある数字です。メーカーのマニュアルでは0.6mm以上で交換ですが、0.8近くありますね。こんなに広いとリングの張力が得られないので当然オイルが燃焼室に上がってきてどんどん燃えて白煙になってしまいます。また、オーバーヒートの危険もはらんできます。
<右写真>
ピストンに25とスタンプされているのが0.25オーバーサイズという意味です。補修用オーバーサイズは0.5/1mmまで設定されていました。
パーツが入手できないのでピストンは当然そのまま使わざるを得ないですね。しかし、ピストンのリングがはまる溝も当然摩耗しています。(写真のここのすきまと書いてある溝)特にトップリングは摩耗が大きいです。上記でリング隙き間の交換限度値が0.6mmと書きましたが、それは新品ピストンを使った時の規定値なので0.6の隙き間があった時点で、「これじゃあオイルが上がって使えないかもな」ということは懸念できるわけなのです。また、リング隙き間の数値だけでなく、たとえ使用限度値以下でもリングの摩耗形状も非常に重要なので、ピストンリングの合い口隙き間だけでなく、ピストンのリング溝の状態、シリンダーそのものの状態などを細かく観察しながら適切に修正や加工を加えたりパーツの交換をすることが必要になってくるわけなのです。今回の場合は合い口が0.8も空いちゃってたので当然の結果ですけどね。部品の入手が難しいから中古使用もやむなしと言ってしまえばそれまでなんですけど、少なくとも自分はこの状態ではおそろしすぎて組めませんw