第2回『英国製 安全靴』10.4.18


「チミチミ、ひゃくぱーせんとの安全なんてあり得んのだよ!」

自分はツナギを着ない整備士です。昔は普段着までもツナギでしたが、今では気が向いたとき、年に一度着るか着ないかになってしまいました。ツナギは肩がこったりウンコがめんどくさかったり、それよりなにより動きにくく、よくよく考えると合理的なユニフォームではないような気がして、現在では作業にはブルージーンズ(リーバイス)を着用しています。そして靴はもちろん安全靴。今のところ「安全靴のおかげで助かった〜」というシチュエーションにはまだ遭遇していませんが、こんな仕事をしている以上、鉄板入りは当然の身だしなみだと思っています。
で、せっかく履くなら「きちんと耐久性があって、なおかつカッコイイのがいいじゃないか」ということで選ぶとすると選択肢は英国製しかありません。(どちらかというとカッコ優先かな?)こうしてあらためて引っ張り出してみるとゴロゴロあるな〜。




『ドクター・マーチン/Dr.Martens』

定番!ドクター・マーチンね

マーチン先生が発案したエアソールを採用した“ドクター・マーチン”はイギリスのパンクロッカーの間では定番中の定番。日本でいうならば“ミドリ安全靴”みたいなもんですね。現在ではファッションアイテムとしても人気があるようです。自分のモデルはスチールトゥ(つま先に鉄のキャップ入り)の10ホール、エアウェアーです。チェリーレッドのカラーも気に入っています。


『ゲッタ・グリップ/Getta Grip』

マーチンより武骨、ゲッタ・グリップ

こちらはゲッタ・グリップ、これも同じく英国製。こちらはOiパンクス向けかな?。ゲッタ・グリップはドクター・マーチンの系列会社らしく、両社でアイテムが重複していたりしますが、ゲッタと言えばこのモデルが代表格。定番のマーチンももちろん大好きですが、こちらも負けじとお気に入りです。これももちろんつま先に鉄のキャップが仕込まれているモデルで同じく10ホール。


両者を比べてみよう

両者の違い

まずは左写真、つま先は右のドクター・マーチンがスムーズなのに対して、ゲッタ・グリップは切り返しがついて革が2枚構造になっています。両者ともつま先には金属製のキャップが仕込まれていて、これが意外と便利。重たいフロアジャッキの向きを変えるときに蹴飛ばしたり、重量物を運んでいるとき、一度つま先に乗せて手を持ち替えたりと、安全面での安心感だけではなく道具としても重宝、また思い切った作業ができるという利点もあります。そんなわけでつま先はボロボロですが、それもまた味ですかね。

全体にはゲッタ・グリップの方が若干スリムで土踏まずの辺りも大きくくびれていますので、両方とも同じサイズですがゲッタの方がはき心地がタイトです。(自分は約26センチ/UK7)


ソールの違い

ドクターマーチンのソール

マーチンのソールは比較的やわらかい飴色のゴム製なので、減りは早いものの履き心地は非常に快適です。側面に入っている筋と黄色いステッチが大きな特徴ですね。このソールは随分と優れもんらしく、営業マン向けの革靴などに装着されているものもある程です。

ゲッタグリップのソール

一方、ゲッタ・グリップのソールは固めのゴム材を採用し、ブロックパターンが組まれています。柔軟性は無いのではき心地はゴツゴツですが、決して不快ではありません。なんといっても最大の特徴はブロックの間に打ち込まれた多数のビス。ソールを固定するのにビスを打ち付けちゃうなんて、いかにも重作業向けという感じがしますね。




別のタイプ

マーチンの黒

黒のこちらは譲り受けたもの。これもドクター・マーチンですが、上のチェリーレッドとは少々タイプ違いで、黄色のステッチが無いモデルです。上記の2足ではちぎれて無くなっている背面のタグ(右写真)がコイツはしっかり残っています。随分と年季が入っていて、つま先は破れてキャップがむき出しになってしまいました。

このテの編み上げブーツの場合は、ほんの少々大きめのサイズを選んで紐を思いっきり引き締めて隙き間を無くして履くのがカッコいいと思います。紐の通し方はもちろんシングルスタイルね。




さらに家にもあった!

ウチに帰ったらまだあった!左はかみさん用ドクター・マーチン8ホール。これはキャップが入っていないタイプなのでつま先がスリムかつシャープですね。右はゲッタ・グリップの3ホール。やっぱりゲッタはゴッツイね。

仕事柄、ほぼ毎日作業スタイルだとマンネリになりがちなので、こうして靴をその日の気分で履き替えるのも楽しみのひとつですし、やっぱり英国製安全靴はパンクロッカーやいわゆるブルーカラー(整備士など)の必須アイテムなのです。

プロに限ったことではなく、趣味でクルマいじりをする方でも安全靴を履くことを断然オススメします。とはいえ、つま先しか守れませんが、それでも多少なりともリスクを遠ざけるということは機械いじりの世界のエチケットと言っても差し支えないのではないでしょうか。最近は一見安全靴に見えないアディダスとかのセフティーシューズなんてのもありますし、安いのはワークマンやホームセンターに行けば1000円台からあると思います。「いざ、安全靴ワールドへ!」


<第2回『英国製 安全靴』>おわり