第4回『ハクキンカイロ』10.12.8


「熱量は使い捨てカイロの約13倍だって!」

大きさはだいたいこんなもん、携帯電話とさほど変わらないよ

暖冬とはいえ大分冷え込んできた今回は『ハクキンカイロ』を取り上げてみましょう最近ではジッポライターブランドの『ハンディウォーマー』というのがありますが、それもハクキンカイロと全くおんなじです。ベンジンさえ入れれば繰り返し何度でも使えるというのがいいですね。これならオレのように使い捨てカイロを毎回もみすぎて破れてしまい、ひどいことになる心配もありません。整備士にとって指先が冷たいというのは作業の効率がダダさがりなので、ポケットの中に入れておいていつも握るという使い方をしています。




『基本的な使い方』

ベンジンを注入して点火、この儀式も楽しい

(左上)キャップと火口を取り外す
(右上)火口のところに計量カップをセットしてベンジンを規定量注ぐ。
この現行モデルでは一杯で約12時間使用でき、2杯まで入れることができます。
(左下)カップを90度回転させると燃料がタンクに落ちてゆく。
(右下)火口をセットしてライターなどで数秒あぶる。

ハクキンカイロはストーブなどのように火によって燃焼している訳ではありません。ベンジンなどの燃料をプラチナ触媒により燃焼させて、その燃焼熱をカイロの熱として利用していますのでライターで着火するというよりは、あぶって燃焼のきっかけをつくってやるというイメージでしょうか。

燃焼が始まったらキャップをはめて付属の袋に入れて使用します。




「いろいろなモデルについて」

現在所有するのはこの3個

自分が所有するのはこの3個。大きさはどれもそんなに変わりませんがそれぞれに特徴があり、こうしてあらためて観察しながら比べてみるとなかなか面白いです。以下、左から順にご紹介しましょう。


『現行モデル・ピーコック』

今でも普通に売ってます、ピーコック

ハクキンカイロは特別なバリエーションを除き、基本的な形状、仕組みは50年以上大きく変化していないようですが、現在ではこのピーコックが一番スタンダードなモデルです。チェックの袋は元々ぶかぶかなのですが、ピッタリ入るように縫い直しました。また、フタの不自然な丸い3個の穴は「もう少し熱くならないかな?」とドリルで空けた穴です。これを一番メインで使っていますのでへこみやキズだらけです。



相当古いぞ、戦前モデル?

ついつい買ってしまった・・

たまたまオークションで発見した昭和12年のデッドストックとして出品されていたモノ。軍需品だったらしいという話しも聞きますので、ずいぶん貴重なモノのような気もしますが、現行モデルと変わらない値段だったのでついつい買ってしまいした。上記のピーコックと比べると火口の形状とフタの孔雀の羽の数が違いますね。計量カップはアルミ製、説明書も味があって眺めているだけでも楽しいんですが、もちろん何の躊躇もなく箱から出して着火し、メインで使用するピーコックのサブとして交互に使用しています。



コイツはオシャレ『コンパクト』

その名もコンパクト

これも昭和のモデルだと思いますが、ちょっと変わったバリエーションのモデルですね。表に別珍の布が貼ってあるので袋がいらないタイプです。ケースを空けるとちょっと小さめの本体が格納されていて、通風穴も孔雀になっているのがわかります。これは仕事中の油まみれの手で触るのは忍びないので、プライベートでのお出かけ用としてちょっと別格扱いにしているお気に入りです。カッコ良くカワイく、なんてったってオシャレですよね。




使い方は結構融通が利くよ

古いモデルでも大丈夫

ピーコック以外の2つはもちろん絶版モデルなんですが、見るからにダメになってそうな火口には現行モデルのものを流用しています。若干形状が違ったりしますが、ペンチなどで調整すれば装着可能です。基本構造がシンプルなのでどうにでもなっちゃうところも魅力的ですね。カイロ用ベンジンも売っているのをあんまり見ないのですが、ジッポオイルで代用できます。また、アウトドア用の白ガソリンを使えば最もリーズナブルに済ますことができます。

外から帰ってきてまだ熱を発している時は、次の日に履く靴下にくるんで布団に放り込んでアンカ代わりにもしています。




「冬の寒さを乗りきろ〜」


今回はハクキンカイロについていろいろと書いてみました。約50年も前に製造されたものが今でも普通に能力を発揮することに驚きですが、造りや仕組みが限りなくシンプルがゆえにまず故障はありえないですね。使えば使う程、へこんだり擦れたりする度に愛着が湧いてくるかわいいヤツです。冬がだいっきらいなオレもシーズンになってお気に入りのアイテム(ハクキンカイロ)を引っ張り出してくることにより、多少なりとも寒さを楽しみに感じていることは確かです。気に入った道具を使うというのも苦手を克服するひとつの方法ですよね。



今回の記事を書くにあたって参考にさせて頂いたサイト

ハクキンカイロ非公式ファンサイト

ハクキンカイロ株式会社

どちらもかなり見応えのある楽しいサイトです。
もっと詳しく知りたい人はぜひ!


<第4回『ハクキンカイロ』>おわ